「Activity Blog」カテゴリーアーカイブ

上柚木防災ワークショップへの研究室アウトリーチ活動

 はじめまして.学部3年の澤渡です.2025年9月20日に八王子市立上柚木小学校で開かれた「上柚木防災ワークショップ」についてご報告します.
 今回のワークショップでは,研究室メンバーは主に通報訓練,自主防災組織顔合わせ会,グループトークに携わらせていただきました.
 通報訓練では,黒板に貼られたイラストの状況に合わせて,実戦形式で通報の練習を行いました.電話をかける機会自体が減ってきている今の時代だからこそ,いざというときにパニックにならないためにも大切な経験になると感じました.
 自主防災組織顔合わせ会では,地域の方々が積極的に意見を交わし,地域のこれからについて話し合いを行いました.
グループトークでは,「防災アイディアシェアグループ」「赤ちゃん防災グループ」「地域の福祉と高齢者グループ」に分かれて,災害対策や課題について話し合いました.参加者一人ひとりが主体的に考え,個人や地域の防災力向上に向けたアイデアを出し合っており,私も多くの学びを得ることができました.
 また,子ども防災教室では,小学生が情報収集からスライドの作成,発表まで自分たちで行っていました.「来年も自分ができることを考えて参加したい」と発言している生徒さんもおり,一度きりの体験会ではなく,今後につなげようとしている姿が心強かったです.
その他,起震車やAED体験,避難所に設置されるテントや仮設トイレの展示など,体験を通して学べる内容が充実していました.
 今回の経験を通して,上柚木防災ワークショップは,住民同士が防災意識を高め合い,助け合える関係づくりの場として重要な役割を果たしていると実感しました.私自身も今回 の活動で得た気づきを,今後の学びに活かしていきたいと思います.ありがとうございました.

「祖霊のともしび」の運営支援ボランティアに参加して

 こんにちは.市古研究室学部4年の宇都木葵です.2025年8月14日から16日にかけて,CS-Tokyo能登半島地震ボランティアプログラムに参加し,輪島市町野町の金蔵集落で8月15日に催された「祖霊のともしび」の運営支援を行いました.今回はその報告記事を書かせていただきます.

 祖霊のともしびとは,能登半島地震の復興を願って,正願寺に 4,000本のろうそくを灯す行事です.金蔵集落は私の卒業研究の調査対象地でもあり,これまでに二度訪問したことがありましたが,ボランティアとして訪問するのは今回が初めてでした.調査対象地として集落への理解を深めるだけでなく,私自身が集落に対して何か貢献したいという思いで,今回のプログラムへの参加を決めました.

 1日目には「祖霊のともしび」の主催者である I さんからお話を伺いました.I さんは NPO 法人金蔵学校の理事長を務めておられ,多様な地域活動を手がけてこられました.金蔵学校は,最初は有志3名による「考えてみよう会」から始まり,過疎化の現実に向き合う試みでした.I さんはこの段階を「第1ステージ」とし,ただ考えるだけでは変化は生まれないとして,NPO 法人金蔵学校を設立し,食談義,パソコン教室,万燈会,特産品開発などの活動を進めてきた時期を「第2ステージ」と呼んでいます.そして今が「第3ステージ」であり,この「第3ステージ」こそが金蔵の「再生」を実現する段階であると I さんは語ります.I さんは,真の復興とはインフラや住宅を復旧することではなく,そこにある“営み”を取り戻すことだと強く強調されていました.現在 I さんは,廃寺の建物を利活用する計画を進めており,その構想には三つの柱が含まれています.第一に,来訪者が宿泊できるゲストハウスの設置.第二に,金蔵学校の活動拠点の設置.そこでは,能登再生戦略会議の設立や,果樹園づくりによる将来的な農業体験の事業化を目指す「金蔵楽園構想」などを具体化していくことが考えられています.そして第三に,地方での生活を誘致するシェアハウスとしての構想が含まれています.こうした取り組みを通じて,震災を経てもなお,地域の資源を生かしながら,集落の本質的な再生をめざす姿勢には深く感銘を受けました.

 2日目は催事準備を中心に動きました.午前中は,ろうそくをワンカップ瓶に入れ正願寺の境内に並べ,各地から寄せられた復興への願いを書いたメッセージ用紙を瓶の上にかぶせる作業を行いました.その後,開催時刻までの時間を使い,珠洲市方面を視察しました.目にしたのは激しい土砂崩れの跡,地上に設置された水道管,倒壊した家屋の瓦礫など,被災当時から手つかずのまま残る被害の爪痕でした.道中には「みんなのスーパー 長橋食堂」に立ち寄りました.長橋食堂は,ボランティアで能登に来ている女性が営む小さなお店で,1階には日用品が並び,奥には交流スペースとしてテーブルが設けられています.私たちはかき氷をいただき,立ち寄ったおばあさんが持ってこられたキュウリの漬物もお裾分けしていただきました.お店は海沿いの道に建っていますが,震災で隆起した影響で海岸線が離れて風景が大きく変わったと伺いました.また,株式会社珠洲製塩を訪れ,海辺での製塩作業や製塩所の様子を見ることもできました.

 夕方に金蔵に戻り,ろうそくの着火作業を行いました.その後,夕食にIさん特製のイノシシカレーをいただきました.前日から具材を煮込み,スパイスをふんだんに使用した本格的なカレーでとてもおいしかったです.夕食を食べ終え,日が暮れ始めると,続々と正願寺に人が集まり始めました.正願寺のお堂では,トランペットやフルート,歌のコンサートが開催されました.お盆の時期ということもあり,集落住民だけでなくその子や孫なども来場しており,コンサートでは子どもから大人までなじみのある曲が多数演奏され,特に「花は咲く」の演奏には深く心を動かされ思わず涙を流してしまいました.境内に準備したろうそくも日が暮れると一つ一つがキラキラと輝き,とても美しかったです.そして無事に,催事当日を終えることができました.

 3日目の早朝には,穴水の民選委員であるM さんのご自宅を訪問しました.M さんは,復興カフェを通じてボランティアとの関係を築いておられ,地域住民の状況を日頃から把握し,訪問記録や会話記録を残し,必要なときには役所やボランティアにつなぐ役割を担っておられます.2日目の夜にも宿泊拠点に顔を出され,お手製のおかきを差し入れてくださったり,3日目にお宅を訪問した際にも家庭菜園で育てたしそやじゃがいもを私たち全員に分けてくださったりしました.Mさん自身もご高齢でありながらアクティブで,とても温かく,かつしっかりと地域の安全・安心を見守られている方で,地域にとって欠かせない存在だと感じました.その後,正願寺に戻り,ろうそくを回収し,瓶を片付ける作業を行いました.瓶に入っていたろうそくを取り除き,コンテナに詰める作業をもって午前中にはすべての作業を終え,ボランティアとしての行程を終了しました.

 この3日間を通して,能登の方々の温かさにふれ,能登に対して調査対象地としてではなく,支える主体として受け入れていただけた実感を得ることができました.調査としての義務感や,相手に「協力していただいている」という気持ちとは別の立場で訪問することで,より深く感謝される感覚や,人の温もりを感じる機会となりました.この経験を経て,能登や金蔵との距離がより近くなったように感じ,以前にも増して金蔵を大切に思えるようになりました.

穴水町甲集落復興調査

 市古研究室学部4年の居山です.
 立秋を過ぎ,お盆休みも終わりましたが,まだまだ暑い日がつづきますね…. 残暑厳しい中,皆様はいかがお過ごしでしょうか.
 私は資格勉強と旅行計画に追われる毎日を過ごしています.
 さて今回は,今年7月20日から21日にかけて実施した,穴水町甲地区での卒業研究調査についてお伝えしたいと思います!
 市古研究室では,昨年1月の能登半島地震以降,昨年9月,今年3月の計2回の復興ナラティブ調査を実施してきました.
 昨年9月の調査は,私がこの研究室に配属されてから間もない時期で,慌ただしくも充実した3日間を過ごしたことを今でも鮮明に覚えています(笑)
 そして,この調査での経験をきっかけに,卒業研究では「能登復興」を考えたいと強く思うようになりました.
 特に印象に残ったのが,私が研究対象地として設定している,穴水町の「甲」という集落です.能登半島の東側に位置する沿岸集落で,東は富山湾,三方は山に囲まれた,日本の原風景を留める自然豊かな場所です.
 調査にて複数の被災地を巡るなかで,甲は,特に「復興によって明るい兆しが見えるのではないか」と感じました.
 お話を聞かせていただいた方から「甲を絶対になくさない」という思いを聞いて,この集落の復興の様子を追いたい,何か自分にできることはないか,と考えるようになりました.そして,私は「復興するコミュニティにおける居住環境の現状と課題-2024年能登半島地震,石川県鳳珠郡穴水町甲地区を対象として-」というテーマで卒業研究を進めることとしました.
 「居住環境」という言葉の定義は一概には難しいのですが,被災地において特に重要な論点は,①安全性,②利便性の2点だと考えています.私の研究においては,前者については人的交流や地域コミュニティを,後者については買い物や交通について焦点を当てています.甲で暮らす方々を取り巻く「居住環境」の現状を明らかにすることで,この集落の集落の持続可能性を考える一助になればなと.さらに,甲には,「穴水町甲復興団」という復興のキーパーソンが存在します.地元出身の若手メンバー数名によって立ち上げられたこの団体は,毎月1回,集落内の公民館で「甲復興カフェ」を開催しています.誰でも気軽に参加できるこのカフェでは,地域内外の人々が集い,お茶やお菓子を囲みながらざっくばらんに話をすることができる場となっています.3月の調査ではこれを対象に参与観察調査を実施しています.
 
 また,甲復興団の新たな取り組みとして,廃線となった旧のと鉄道能登線の甲駅を活用して賑わい拠点をつくろうという動きがあります.ですが,復興団について書こうと思うととても長くなってしまうので,気になる方は復興団の公式Instagramを是非覗いてみてください!(@anamizu_kabuto_fukkodan)
 そして今回,復興団が主催する「甲駅ランチマーケット」の参与観察調査と,居住環境に関する住民インタビュー調査を行うため,単独調査を実施しました.(同行してくださった市古先生,本当にありがとうございました!)
 7/20,午前の便で羽田空港から能登里山空港に向かい,正午前には甲に到着しました.北陸とはいえ東京と変わらないほど暑く,車から降りて直ぐに汗が噴き出てきました….甲駅前の広場に向かうと,既にランチマーケットが始まっていました.キッチンカーのほか,テントブースでは,餃子やビール,更には復興団のメンバーがつくった野菜やお菓子などが売られています.さらに,穴水町の中心部にあるお蕎麦屋さんの店主による「そば打ち体験」も開催され,会場は賑わいをみせていました.しかし,3月に調査した復興カフェと比べると,他の地域からの参加者はあまりみられませんでした. ただ,当時は構想段階だった「甲駅での賑わいづくり」が,このように実際に形になっているのを目の当たりにしたことで,甲の復興の歩みを確かに感じました.復興団のメンバーをはじめ,甲の方々は,私達のようないわゆる「よそ者」に対しても温かく接してくださいます.ランチマーケットでうろうろしている私達にも気さくに声をかけてくださり,なんと甲の海で採れたサザエの浜焼きを食べさせていただきました!(人生初のサザエでした)
 その日の夜には,復興団メンバーのご家族のお宅にお招きいただき,家庭菜園で採れた食材を使った手料理までご馳走になりました….まるで親戚の家に帰省したような感覚で,一瞬,調査だということを忘れてしまいそうでした(笑)
 
 さて,2日目は,居住環境に関する住民インタビューを行いました.冒頭にてお伝えしたとおり,私の研究では地域コミュニティや買い物,交通に焦点を当てていますが,今回の調査では特に「買い物」事情に関してお話を伺いました.調査に協力してくださった女性お二人は,とてもパワフルな方々で,こちらの質問にも丁寧にお答えくださいました.普段の買い物場所やそこまでの移動手段,さらには住宅の再建に関する問題や復興に向けた不安など,住民目線で見る居住環境の現状について,細かく教えていただくことができました.
 お話のなかで特に心に残ったのは,かつて甲にあった5つの個人商店についてのエピソードです.インタビュー対象のお二方とも,実際にその商店を経営されていた方でした.しかし,今回の地震の影響によって廃業を余儀なくされたとのことです.前日,自宅に呼んでいただいた方に,その商店について伺ったところ,『毎週決まった曜日は仕事を早く切り上げ,そのお店に寄って,お酒を1杯呑んでから家に帰る.行くとつまみも出してくれる.』と教えて頂きました.これらの商店は,単なる買い物場所としてだけではなく,地域住民の憩いの場としても重要な役割を果たしていました.
 しかし,この甲の風景は,地震によって失われました.
 一度失われたものを元に戻すことは非常に困難です.それでも,甲の方々は「もう一度その風景を取り戻したい」と思っているのではないでしょうか. 
 そして,復興団はその思いを受け止め,復興に取り組んでいるように感じます.
 
 こうした甲の方々に対して,私ができることは,居住環境の現状を記録し,分析・考察を通して地域の方々に還元することだと思っています.
 卒業研究の最終地点であるポスターセッションまであと半年ほどですが,研究,旅行,研究,資格,研究…, それぞれを全力で取り組み,やり切りたいと思います.


 いまを大切に,頑張ります.

能登復興ナラティブ調査(2025/Sep)事前勉強会/B3歓迎会

 みなさんこんにちは.都市防災・災害復興研究室 学部4年の福井貫太と申します.
 9月15日から17日にかけて実施する「能登半島復興ナラティブ調査」の事前勉強会を,3年生の歓迎会を兼ねて行いましたので,ご報告したいと思います.
本年も市古研究室には新たに4名の3年生が加わりました.私自身も卒業研究に取りかかって1年が経過するのかと思うと,少し“老いた”気分になります.

[事前勉強会]
 最初に行われた能登半島復興ナラティブ調査の事前勉強会では,能登を事例に卒業研究に取り組む居山・宇都木・福井の3名から,調査計画について発表を行いました.昨年度の成果を踏まえつつ,能登半島地震からの復興の現状を多角的に捉えるための視点や,現地でのインタビュー項目などを共有しました.
 私自身も和倉温泉でのインタビュー調査を予定しており,調査に向けてわくわくするとともに,身が引き締まる思いでした.

 さらに,今年度から新しく研究室に加わった3年生には,能登半島地震の復興に関する事前学習に取り組んでもらうことになりました.各テーマには4年生がメンターとして付き,ペアで学びを深めていきます.
 学習テーマは次の4つです.
A)野菜直売所とその担い手(メンター:宇都木)
B)2024年能登半島地震の仮設商店街の開業プロセスと現時点での成果(メンター:居山)
C)金沢市を訪問する外国人旅行者と能登半島地震(メンター:小野)
D)能登半島復興における和倉温泉の立ち位置(メンター:福井)
 それぞれのテーマを通じて,3年生たちは能登の復興のあり方を自分たちなりに考え,8月21日の発表に向けて準備を進めていきます.私たち4年生もメンターとしてサポートしながら,一緒に学び,成長していければと思います.

[歓迎会]
 会議終了後は,南大沢駅前の居酒屋で歓迎会を行いました.研究室のメンバー全員で集まって飲みに行く機会はなかなかないため,とても貴重な時間となりました.今年の3月に修士課程を修了された山口さんにもご参加いただき,終始にぎやかな雰囲気で楽しいひとときを過ごしました.

 1日を通して,3年生との交流に加え,9月に実施する能登調査への意欲が一層高まりました.私は3日目の和倉温泉での調査を担当しますが,すぐ先に控えている卒業論文の執筆に向けて,実りある調査にしていきたいと思います.

TMU_DR-Lab.はこんな研究室です〜

 はじめまして.修士2年の山口さくらと申します.
 市古研究室に入って2年目になりますが,初めて担当します.(決してさぼったり避けたりしていたわけではありません.)今回は,研究室の特徴をご紹介します.(過去の記事もぜひご覧ください!)ちょうどB3は研究室選びの時期,また,大学院入試も近づいていると思いますので,ぜひ研究室の雰囲気を感じ取っていただければ幸いです.

《PC環境が良い》
Windowsが6台,Macが1台あります.そのうち,Windows3台はメモリがなんと64GBもあります.これは,大学の共用のPCよりもハイスペックです.私の研究は膨大な計算を伴いますが,このPCのおかげで,難なく計算を行うことができています.特に席は決まっていませんが,研究室に高頻度で来る人は,机に私物を置いたりして,陣取っています.私はやる気を出すために色々持ち込んだ結果,とてもにぎやかになりました.

《コアタイムがない》
 市古研究室では,隔週の研究室会議以外に特定のコアタイムはなく,研究の進め方は基本的に自由です.私のように研究室に来て作業をする人もいれば,自宅や図書館など,自分に合った場所で研究を進めている人もいます.それぞれが自分のペースを大切にしながら,しっかりと成果を出しているのが印象的です.
 スケジュールの自由度が高いため,旅行やライブなどプライベートの予定とも両立しやすく,研究室メンバーは皆,オン・オフをうまく切り替えて生活を楽しんでいます.私は去年で選択必修をすべて履修し終えたため,平日は特に予定がなければ昼前に研究室に来て,夕方ごろまで作業を進めています.無理なく続けられる環境が整っているのも,この研究室の魅力の一つだと思います.

《個性豊かな学生の集まり》
 市古研究室には,個性豊かで多様なバックグラウンドを持つ学生が集まっています.防災・復興という共通のテーマのもと,それぞれが異なるアプローチで研究を進めており,一人ひとりが専門性を持っています.特に大学院生は他大学・他分野から進学してきた人が多く,これまで自分になかった視点や知識を共有してもらえるため,日々刺激を受けています.また,研究室のメンバーは出身地や趣味も十人十色です.最近は出身高校の変わった伝統や方言の話で盛り上がりました.(「おっとっととっとってっていっとったとになんでとっとってくれんかったとっていっとーと」←これを一発で読めた人は私の仲間です.)いつも笑いが絶えない楽しい研究室だと思います.

 このほかにも,市古研究室ではさまざまな活動が行われています.
★ 被災地でのナラティブ調査(当事者の声に耳を傾ける大切な機会です)
★ まちづくりに関わるワークショップへの参加(地域のリアルな課題に触れられます)
★ 懇親会,ランチ会など(研究の話から雑談まで,ざっくばらんに話せる貴重な時間)

 こうしたイベントも含めて,研究だけにとどまらない学びがたくさんあるのが市古研究室のいいところだと思います.気になった方は研究室見学など,いつでも覗きに来てください!

能登半島地震15ヶ月 集落復興訪問調査 

 こんにちは!市古研究室修士1年の和多田と学部4年の小野です.ブログは今回が初めての執筆につき,拙い文章で恐縮ですが,最後までお付き合いいただけますと幸いです.
今回は,2025年3月に行った能登半島地震調査について報告したいと思います.

 2024年(令和6年)1月1日に発生した能登半島地震は,石川県を中心に甚大な被害をもたらしました.当研究室では,昨年の9月に引き続き,この地震による被害状況の調査と,防災・減災に向けた研究のため,現地調査を実施しました.
 
 ここからは和多田がお送りします.
 1日目は,石川県鳳珠郡穴水町にある甲集落を訪れました.甲集落では,区長に震災発生時の集落の状況や避難所での避難生活などについて,お話を伺いました.区長のお話から,行政の支援が難しい中,避難所では住民主体の自主的な避難所運営が行われていたことがわかりました.区長によると,避難者同士が協力し合い,自主的に役割分担をしながら生活環境の維持に努めていたといいます.このような行政に頼らない避難所の自主運営が可能であったのは,住民の強い結束力と主体性によるものだと感じました.
 また,街歩きでは,昨年訪問したときよりも公費解体が進んでおり,荒廃していた土地も手入れされていることが見て取れました.集落内の土地を綺麗に整えることは,集落の復興のために必要なことだとは思いますが,一方で,かつての風景や住民の暮らしの痕跡が失われつつあることに,少なからず寂しさを感じました.整備が進むことは復興の証ではありますが,同時に,地域の歴史や記憶が薄れていく側面もあるのではないかと考えさせられました.
 蛇足ですが,立山連峰が海の上に浮かんで見える眺望や海からの潮風の匂い,瓦葺きの屋根が並んでいる街の眺めは,個人的な甲集落のお気に入りポイントです.

 2日目は,珠洲方面に向かう組と輪島市にある金蔵集落に向かう組と二手に分かれて,それぞれ調査を行いました.金蔵集落には世界農業遺産にも登録された里山の風景が広がっており,美しい棚田の景観が守られています.区長へのインタビューから,金蔵地区への想いや金蔵を守りたいと考える原動力について深く理解することができました.特に,「不安」が原動力であるという点には共感しました.一般的に,不安という感情はネガティブなものと捉えられがちですが,一方で私たちを行動へと駆り立てる重要な力にもなり得ると考えます.そのため,不安を感じたときこそ,自分を成長させるチャンスと捉え,前向きに行動していきたいと感じました.
 また,かつては,稲作を5~7家族で共同管理していたことから「共同体」という考え方が生まれました.しかし,機械化の進展により,1人でも稲作が可能になり,その結果,過疎化が進み,さらには共同体の崩壊につながったという指摘が印象的でした.共同体の在り方は,復興や防災の面でも重要な意味を持つと感じました.

 ここからは小野がお送りします.
 3日目は,矢田郷でインタビューを行うグループと,和倉温泉街の散策調査及び合資会社の方へインタビューを行うグループの2手に分かれました.私は自身の卒業研究に関するインタビュー調査で金沢へ向かうため,後者の散策調査のみ参加しました.

 前回の9月訪問時と比較して,道路の修復状況を見るに,またご在住の方からのお話もあり,復旧・復興は本当に少しずつではありますが進んでいるように感じました.また今回,実際に和倉温泉で宿泊し,周辺の小売店や飲食店を利用し,観光バスを見かけたことからも,観光業の回復の兆しを身をもって感じました.加えて,宿泊先の従業員さんのお話からボランティアで訪れる方の多さを知り,またクラウドファンディングを用いた飲食店があるなど,地域外の方々を引き込んでいることが印象的でした.これは和倉温泉に限らず,能登半島の今後の復興の重要な観点だと考えます.

 蛇足ですが,いつもストイックになりがちな調査だからこそ,研究室メンバー一同,宿泊先の温泉には大変に癒されている模様でした.もう温泉は必須項目にしませんか…(涙)

 4日目の午前中は,石川県立図書館に行きました.
 入ってみてまず目を引いたのは,その特徴的な構造です.巨大な吹き抜けとなっており,円形に配置された本棚が織りなす光景は劇場のようです.そしていたるところに様々な形状の椅子がちりばめられており,自分のお気に入りを見つけて,じっくりと本に向き合うことができる空間がありました.それはこどもエリアでも際立っていて,アスレチックのようなネットもあり,屋外空間があったりと,場の充実さが感じられました.多彩な交流貸スペースの他,カフェも併設されていて,実際に利用してみて,その居心地の良さや,愛称の「百万石ビブリオバウム」に込められた思いを実感できました.
 午後は長町武家屋敷跡に行き,金沢市の統計からも見えていたような外国人旅行者の関心の高さを実感できたほか,景観地区として守られてきた重要な歴史の一片を伺うことができたと感じます.
 
 5日目は,私の卒業研究に関して,2024年能登半島地震の前後における在留外国人・訪日外国人旅行者対応に関して,石川県庁の方々にインタビューを行いました.発災当時,金沢市内の旅行者には特段大きな混乱は見られなかったものの,特に能登半島地域の在留外国人への対応については,関係機関との連携の重要性や今後の課題が浮き彫りになりました.

 防災と関連付けるにあたり,在留外国人と訪日外国人のどちらを主眼に置くべきか悩んだ末,卒業論文では後者に焦点を当てることにしていました.今回のインタビューを通じて,両者の災害時における具体的な課題や現場の対応の実態をより深く理解することができました.これまで文献調査だけでは得られなかった情報や意見を伺うことで,研究にさらなる厚みを加えられそうです.

 さて,写真でお分かりだと思いますが,実は金沢には某同期がついてきてくれました.研究室所属前のプロジェクトから,留学中,そして帰国後も何かと支えてもらっていて,最後まで心強かったです.5日間本当にお疲れ様,そして今までありがとう(大泣)

 私としては,今回のインタビューを活かして今後の約1年間でさらに多くの知見を深め,5年間の集大成として納得のいく卒業論文を完成させたいと思います.長くなりましたが,ここまでお読みいただきありがとうございました!

2024年度TMU_DR-Lab. B3卒業研究Ⅰ中間報告会

 はじめまして!市古研究室学部3年の居山です.
 昨年秋にこの研究室に加入して以来,はじめてBLOG担当を務めます!よろしくお願いします.
 さて,今回は先日行われた卒業研究Ⅰの「中間報告会」について報告します.
 中間報告会とは,3年後期から取り組んでいる卒業研究のテーマや,これまでの半年間の調査結果,そして今後1年間の研究計画などを,他の研究室の学生や先生方に向けて発表する場です.
 発表の持ち時間は一人5分.なぜこのテーマを設定したのか,半年間の調査で得られた知見,そしてこれから調査したいことを全て伝えるには,あまりに短い時間です.ちなみに,中間報告会に向けて市古研究室内で行った発表リハーサルでは,ほとんどの学生が5分をオーバーしていました….参考までにその時のタイムを掲載しておきます.
 ・4分55秒(さすが小野さん.すごい!)
 ・5分08秒
 ・5分38秒(←居山)
 ・6分38秒
 ・8分11秒
 この結果を受けて,それぞれが練習に励んだことで,本番当日は全員が5分以内で発表を終えることができました!発表後の質疑応答では,”なるほど””その視点はなかった”といった,思わず考えさせられるような質問やコメントをたくさんいただきました.今後の研究のヒントになりそうです.
 また,当日は他の研究室の学生の発表をはじめて聞く機会でもありました.レベルの高い発表に感心してしまう場面もあり,とても刺激を受けました.次の,学科全体に向けた発表の機会は,来年2月の「ポスターセッション」のみです.その時には,私の発表を聞いた多くの人が感心してくれるよう,研究に全力を注いでいきます!

 私の卒業研究のテーマは,「能登復興と住民交流」です.昨年9月の復興ナラティブ調査にて能登半島地震の被災地を訪れた際,現地の方々が口を揃えて「被災当時も,これまでも,みんなで支え合ってきた」とお話してくださったのが強く印象に残りました.この言葉をきっかけに,被災地における住民同士の交流の実態や,住民主体の復興まちづくりに関心を抱くようになり,卒業研究のテーマとして設定しました.
 来月上旬には,研究室として半年ぶり2回目の能登半島の復興ナラティブ調査が控えています.その準備として,現在はインタビューの質問項目の精査,事前調査の資料収集など,慌ただしくも充実した日々を過ごしています.
 学部3年のこの時期は何かと忙しいですが,来年の今頃には,全てが良い形になっているように.いまを大切に,頑張ります.

2024年度TMU_DR-Lab.卒業研究発表

 こんにちは!学部4年の鈴木です.
 今回は先日行われた都市政策科学科のポスター発表の様子をお伝えします.

 ポスター発表は,3年後期から約1年半かけて取り組んできた卒業研究の成果を他の研究室の学生や先生方に向けて,ポスター1枚にまとめて発表しました.1年半研究してきたものを5分間の発表と5分の質疑応答という短い時間に全て注ぎこんで,全力で発表に臨みました.
 ポスターにもそれぞれ個性が表れていてどの発表もすごく見ごたえのあるものに仕上がっていました.市古研究室の学生の発表も自分のことのようにドキドキしながら見守っていました.
 私自身もとても緊張しましたが,皆さんに伝わるように工夫して発表を行いました.
大きな問題もなく,全員の発表が終わりました!!!他の研究室の研究内容を聞く機会はなかなかないので,楽しみながら発表を聞くことができました.皆様本当にお疲れ様でした.

 無事に卒業できれば学生としての生活もあと少し!市古研究室は3月に能登半島の調査も残っているのでそこに向けて気持ちを作っていきたいと思います!!

上柚木地区 防災ワークショップ2024

 こんにちは!市古研究室B3の宇都木葵です.研究室配属後,初めてのホームページ担当になりますが,どうぞよろしくお願い致します.

 今回は,2024年10月26日に八王子市立愛宕小学校で開催された上柚木防災ワークショップについてご報告させていただきます.

 上柚木防災ワークショップは今回で14回目の開催となりました.地域の女性がリーダーとなり小中学校の保護者の方を中心に進められ,我々市古研究室メンバーは前日の準備と当日の運営のお手伝いをさせていただきました.

 体育館では,6つのテーマに分かれて地域の方々と防災についてグループトークを行いました.それぞれのグループで意見を付箋に書いて模造紙にまとめ,活発な意見交換をしている様子がうかがえました.また,避難所生活中に用いるテントや銀マット,毛布の展示も行いました.ワークショップのリーダーの方から,テントは避難所生活においてそれぞれの家庭のプライバシーを守るだけでなく,体育館の天井が高いと怖くて眠れない子どもが安心して眠れるようにする役割もあるということを伺いました.これは子どもを持つ親ならではの防災意識であり,大学生である私にとって新鮮な視点の気づきでした.その他の活動として,ワークショップに参加してくださった方々には,非常食の配布を行いました.今回配布した非常食は,地域の企業や子ども食堂から提供されているそうで,多様な団体も含めた上柚木地区全体での防災意識の高さと地域のつながりの強さを感じました.

 図書館では,防災リュック,防災釣りゲーム,防災カルタなどの子ども向けの活動を行い,ゲームを通して子どもたちに楽しみながら防災を学んでもらいました.また,新聞紙スリッパづくりも行い,子どもたちは自分で作った新聞紙スリッパに好きなシールを貼って思い思いのオリジナルスリッパづくりを楽しんでいました.一緒に運営を行った保護者の方から,「子どもたちは日頃から避難訓練を行っていて防災の知識を身につけている.むしろ大人の方が意外と防災に詳しくない.子どもに向けた防災活動は,子どもを通じて親が防災に関心を持ち学ぶための機会としても重要である.」と伺いました.子どもの防災教育をするだけではなく,それを通じて親の防災意識を高めようという考えに感心し,子ども向けの防災活動の大切さを改めて実感させられました.

 2日間の活動を通して,上柚木地区の防災意識の高さ,特にワークショップのリーダーとなっている女性の方々の熱意と地域を巻き込む力に驚かされました.上柚木防災ワークショップは,上柚木地区の防災力向上において非常に大きな役割を持っていると思います.実際に地域の方と交流することで得られた気づきも多く,大変学びの多い経験となりました.上柚木防災ワークショップに携わられたみなさま,ありがとうございました.

墨田西町会とのスタンドパイプ実践訓練

 こんにちは!市古研究室修士2年の山口です.

 今回は,10月5日に行われました,私の修士研究に関わる墨田区でのスタンドパイプ訓練について書いていきたいと思います.

 墨田区は,木造密集地域であり,東京都における地域危険度測定でも危険度上位になっています.そのため,墨田区の住民の方々は日頃からの防災意識がとても高く,打ち合わせの時からとても積極的で,多くのことを地域住民の方々から学びました.

 さて,実際にどのようなことを実施したかというと,日頃のスタンドパイプ訓練とは一味違い,障害物があったり,声を出さずにジェスチャーのみで意思疎通をはかったり等,様々な負荷をかけて訓練に臨んでもらいました.

 やはり,1回目はどのチームもうまくやることはできませんでした.今回はタイムトライアルではなく,一つ一つの動作を確実に実施してくださいと最初に伝えたのにもかかわらず,2回目に入るまでに話し合いを実施したところ,どのチームも1分台で放水までの校庭を完了させるという,好成績を残しました.これは,実際の火災発生時にも,行き当たりばったりに行動するのではなく,事前に町会内で役割や伝達の方法などを決めておくことで,早く放水まで持っていけることを表しているものだと思います.

 また,今回は学生チームによる訓練も行いました!

 3人ともスタンドパイプに触ったことのない学生でしたが,戸惑いながらも頑張って放水まで行っていました.1回目のタイムは想像通りよくなかったですが,町会の方と同様に話し合いを実施してもらい,2回目での訓練はなんと!!町会の方と同じ1分台に乗せることができました!!!しかし,学生チームからは「悔しい」「もう一回やりたい」という,やる気に満ち溢れた声が漏れていました! 

 他に,学生は訓練の係員として,多くの仕事をこなしてもらいました!とてもとても感謝です!!

 やはり,このように市古研究室のメンバーは一人のためにみんなが協力するという,みんなで支えあって研究室生活を送っています!

 修士課程は残りわずかですが,今回取得したデータをしっかりと修士論文完成までに煮詰めて,よい論文を書いていこうと思います!