大田区羽田 事前復興まちづくりProject第1回WS

 皆さんこんにちは,修士2年の松澤・大野です.
 先日2023年9月5日,市古先生・博士課程卒業生1名を含めた研究室メンバー11名で,「羽田地区(羽田1~6丁目) 事前復興まちづくり訓練」の第一回の開催・運営に従事しました.研究室としての当訓練への関わりは,本年6月に実施したガイダンスから継続しています.「訓練」と名前はついているものの,実際は地域住民を巻き込んだワークショップの様な形態です.大田区さん・コンサルタントの地域計画連合さんを中心とし,研究室としては「学生らしい防災まちづくり提案」を目指し,三者一体となってこの訓練を運営しています.市古先生によると,研究室からの学生提案を含むプロジェクトはコロナ前以来だそう.勿論現在籍メンバーにとっては初めてであり,不安もありつつも気合の入ったプロジェクトです.
 今回は,ガイダンス含む全4回の訓練のうちの2回目.研究室としては,まちづくり提案の方針をお披露目し,参加者や大田区さん,RPIさんらからたくさんのフィードバックを頂くことが目標でした.当日参加できたメンバーは11名ですが,実はこの訓練に向けては,研究室全員一丸となって多くの時間をかけて準備してきました.

 研究室として用意したものは①研究室からみた羽田の街を表現した「羽田ってこんな街だよね!MAP」②提案内容を示すプレゼンボード③提案の対象地の模型の3種類です.①は研究室全体の意見をM2松澤さんを中心にまとめ,②③は提案内容ごとに4班に分かれて作成しました.
 ①「羽田ってこんな街だよね!魅力資源MAP」と「もっと羽田をこうしたい!」提案資料は,研究室でのまち歩きをはじめとした事前学習を通し,各々が感じた「羽田の街の姿」「羽田の魅力あるスポット」を洗い出し,手書きのイラストと共に見やすくまとめたもの.手に取った人に一目で羽田の街の雰囲気が伝わるようなMAPを目指しました.

 ②各班の提案内容を示すプレゼンボードは,各班が現時点での提案内容をまとめたもの.提案内容を考える際には,班の枠を超え日々研究室内で活発な議論がされました.実現可能性や羽田の街の将来像など,様々な視点から議論を重ね,各々の街への想いが反映されたプレゼンボードとなりました.

 ③各班の提案の対象地の模型(路地班,水辺班,高架下班)は,主に班ごとで作成しました.初めて建築模型を作成するメンバーも多い中,建築学科出身者を中心に,各班の提案の空間像が伝わるような模型作りに励みました.今回の段階では建物や道路のボリューム模型に留めたものの,12月の訓練ではより詳細な部分までの作りこみを予定しています.

 こうした資料の作成のため,研究室としては週に一度ミーティングをし,各々の作業の進捗報告や目標設定を逐一話し合いながら地道に進めてきました.就職活動や研究との兼ね合い,日々の夜遅くまでの作業など多くの苦労を乗り越え,成果物を作り切りました.
当日は,約40名の対象地域内の住民の方にご参加いただきました.
 まずは,羽田地区の特性や訓練用被害想定についての説明があった上で,個人ワークでのアイスブレイクを行いました.各自が「羽田3,6丁目在住の72歳男性」になりきり,被害や生活の設定から,仮住まいや自宅再建をするか否かなど「住まいの復興」について考えました.短い時間のなかで考える難しさが,リアリティのあるワークでした.

 その後,お時間をいただき,テーマごとに別れて学生提案の説明と,住民の方とのディスカッションを行いました.
 現況模型やプレゼンボードを起点に,「今ある課題を解消して行くにあたって,譲れるところと譲れないところは何か」など,自由な意見交換がされていたのが印象的でした.また,「昔と今で,こんな変化があった」など,住民のみなさんだからこそ知っているエピソードを教えていただき,羽田地区への理解が高まりました.
 研究室メンバーで協力し,コツコツと準備を重ねて来たため,参加者のみなさまが興味を持って発表を聴いてくださったこと,たくさんのご意見をいただけたことが,とても嬉しかったです.

 最後に,居住地域の近い人同士で班分けをし,発災直後→避難生活→応急・復旧期→復興期の4つのフェーズに分けて,「地区の課題や,被災後にも残していきたい魅力」について話し合いました.木造密集地域ならではの地震時の火災や,避難時の道路閉塞,避難所生活に対する不安が多く挙げられた一方,地域コミュニティの強さや,かつて漁港として栄え地域を支えた多摩川が地域の魅力であることがわかりました.
 今回出された意見が「地域の現状把握」として,事前復興まちづくり計画作りにおけるベースとなっていきます.

<参加学生から>

  • 「住民は一貫してこのゆったりとした空気の流れる羽田の街が好きである.それはすごく感じたので,羽田の街が好きだからこそ,防災もしっかりやりたい!という想いに繋げられるといいなと感じた」
  • 「今後ハード整備が進んだとして,それで安心して終わりにするのではなく,その改善された街で住民がどう動いていくべきかというところまで深められるといいなと思った」
  • 「普段我々が調査で多くの災害公営住宅を視察し,またその設立経緯を学んできたことが今回個人的には結構活かされたなと感じた.災害公営がどんなものなのか,どんなデザインがあるのか,どれぐらい建つまで時間がかかるのかなど.普段の学びが行かせたのは嬉しい.」

 …などの声が上がり,学生提案やWSの進行補助を通じて,地域防災の現場から多くのことを学ばせていただきつつ,自分たちの学びを発揮できた貴重な機会となりました.
 今後は,今回のワークショップでいただいた意見等を参考に,再度現地調査を行い,学生提案のブラッシュアップを行っていきます.WSの補助についても,引き続き関わらせていただく予定です.
 次回は12月…論文の提出や中間発表を控えた時期ではありますが,研究室メンバーで協力しながら頑張っていきましょう!

大田区羽田 事前復興まちづくりProject第1回WS」への1件のフィードバック

  1. 教員T.I.

    「研究室全員一丸となって」は全く同感です.大変ながらも手応えを感じてくれたこと,ヒシヒシと伝わってきます!

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