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池袋都市再生ツアー

市古研究室修士1年の北沢です.2021年9月30日に行った,池袋都市再生ツアーについて報告いたします.今回のまちあるきのポイントは,池袋駅周辺の再開発された場所を中心に見て歩くこと, IKEBUSに乗って「池袋」を眺めること,そして新しく研究室に入ってきた学部三年生との親睦を深めることの3つです.

ダイヤゲート池袋をスタートに,池袋駅中央地下通路を通って,Hareza池袋・中池袋公園へ.その後,南池袋公園で休憩し,IKEBUSに乗ってIKE・SUNPARKへ行くというルートでまちあるきをしました.また,私の研究対象地が池袋であったため,まちあるきと並行してプレ調査も行いました.内容としては,研究室のメンバーの方に街歩きで訪れる場所ごと,「買い物や観光で来街した際(平常時)に,魅力的だと感じた点」,「直下型地震(災害時)で駅前滞留者になった際に不安な点」について答えてもらいました.

ダイヤゲート池袋は「国際アート・カルチャー都市」の実現に向けて魅力ある街づくりが進められている池袋の新しいランドマークとして期待されています.特徴的なデッキは西武池袋線の線路上空を覆うように伸びており,そこでは親子連れが遊んでいたり,サラリーマンが休憩しているなど,居心地の良い空間が広がっていました.大規模な地震などが発生した際には,帰宅困難者をビル内に受け入れるなど,区と連携協力しているところに安心を感じましたが,オフィス感が強く社員ではない人にとって閉ざされた印象を持ってしまいそうでもありました.

Hareza池袋・中池袋公園周辺は,建築物や道路など4つの街区を一体的にデザインしているため,オープンスペースに広がりを感じました.ここには,アニメイトや映画館があるなど文化の街・池袋らしく若者で賑わっていました.災害時にはHareza池袋と中池袋公園が一体となって,情報や水といった提供の場所になり,安心できそうな空間ではあるが,近くに飲食店が多く,出火するのではないかという不安も感じました.

南池袋公園は芝生広場を中心として卓球台や遊具があるなど子供から大人まで人気の高い公園となっています.開放的でおしゃれな公園であるとともに,備蓄倉庫や災害トイレの整備がなされていることから,どの世代の方にも魅力ある公園だと感じました.ですが,有名な公園だからこそ災害時にたくさんの人が避難してきてしまい混雑になるのではないかという不安も感じました.

IKE・SUNPARKは,広々とした芝生広場を始めとして,ドッグランスペース,カフェや「KOTO-PORT」と呼ばれる小型店舗など様々な人が集まる魅力的な公園になっています.

災害対応用のヘリポートや防災井戸,備蓄倉庫なども設置され,非常時には防災拠点として重要な公園になっていることから,平常時から安心して過ごせると感じました.

子供を広場で遊ばせて,親はお茶休憩をしている姿が多く見られるなど,南池袋公園より親子連れに人気の公園であると感じました.

今回のプレ調査で一番災害時の不安を感じたのが池袋駅中央地下通路です.池袋駅中央地下通路は鉄道4社8路線のほかに,パルコなどのショッピングセンターが多くあることから災害時の混雑が予想されます.ここでは災害時に,どの事業者,どの立場の方が地下利用者を誘導するのか,どの事業者がどこまでの範囲の人を誘導するのか,他の鉄道会社やバス会社の運行状況をどのように共有するのか,夜間や閉店後はどう対応するのか,など不安な点が多く挙げられました.地下空間が複雑な空間だからこそ,すべての事業者の連携が必要不可欠であり,地下空間の人的資源をどう活用するのかも課題であると感じました.

今後の研究で池袋駅中央地下通路の災害時の連携について整理を行い,事業者や豊島区の方にお話を伺い,理解を深めることが出来たらと考えています.最後になりますが,研究室の皆さんとIKEBUSに乗車をしたり,芝生の上に座ってお話したことは良い思い出になりました.

六本木地区の地域防災研究

 こんにちは.学部4年の眞武勇人です.今回は2021年8月に行った六本木ヒルズ現地調査について報告させていただきます. 今回は,「『逃げ出す街』から『逃げ込める街』へ」というテーマを掲げている六本木ヒルズにおいて,発災時に六本木ヒルズのどこから,どのようにして逃げ込むことができるのか分析することを目的に現地調査を行いました. まず,オフィス棟(森タワー)及び商業施設が位置する北側には,東京メトロ日比谷線・都営地下鉄大江戸線が乗り入れる六本木駅があるため,地下からのアクセス箇所が5つありました.

 その一方,居住棟(ヒルズ・レジデンス)が位置する南側は,居住者の車専用出入口,レジデンスのエントランスばかりで,内側へのアクセスを可能にしているのは歩道橋一本だけでした.発災後の対応として,この歩道橋を封鎖することによって,レジデンスへのアクセスはエントランスと内側からのみとすることができ,防犯面でも役立つように感じました. また,居住棟からオフィス棟へ区画の外側から回ると距離がありますが,この歩道橋によって居住棟からオフィス棟周辺へのアクセスを容易にしていました. この2箇所から,オフィス棟へは駅からアクセスがしやすく,居住棟へは外からのアクセスは難しいが,内側から外へのアクセスは容易となるような設計をしていることがわかりました. また,この設計を可能としているのは,高低差約17mの開発以前の地形であると考えます.この高低差が六本木ヒルズの空間の融合と分離を可能にしているように感じました.この設計により,居住者のプライバシーを厳守しつつ,駅周辺や商業施設内で発生した帰宅困難者の受け入れを可能にしていると考えました.

 今後,実際に六本木ヒルズに住まれている六本木ヒルズ自治会の方にお話を伺う予定です.六本木ヒルズ自治会の活動についてや,プライバシーの厳守に努めているレジデンスにおける発災時の不安等を伺い,さらに六本木ヒルズ・麻布地区について理解を深めたいと考えております.

伊豆大島一中での防災授業支援活動2021

 市古研究室学部4年の田中です.2021年6月に行った,大島町立第一中学校での防災プログラムについて報告いたします.

 伊豆大島は三原山の噴火だけでなく,豪雨による土砂災害や地震・津波など様々な災害の危険があります.今回は2013年10月の台風により被災した土砂災害地の「いま」を学ぶことを目的に,災害地のフィールドワークを行いました.

 フィールドワークでは,まず御神火スカイラインを訪れました.山の中腹から町を見下ろし,土砂が流れた場所とそうでない場所で木々の色や高さが異なっていることを確認しました.昨年の11月に訪れたときは山から町,そして海へつながっていく景色の美しさに目を奪われましたが,改めて見ると流れた土石流が町を飲み込んでしまいそうなほどの山の大きさ、また町の小ささを感じました.

 次に復興祈念公園から堆積工に向かい,大金沢に沿って海まで歩いていきました.復興祈念公園の一角には土砂災害で流されてしまった家の土台部分がそのまま残されています.ほとんど構造物や高木がなく,その綺麗さや開放感が印象的でした.

 大金沢沿いは様々なハード対策が行われています.堆積工では,子供だちとともに,ただ土砂を食い止めるのではなく,少しずつ下流に流すスリット式になっていることを学びました.また,流路工は自然の少なさが印象的でした.大金沢の河口付近はまだ工事中だったため,完成した暁にまた訪れたいです.

 中学生と話していて,津波と噴火それぞれの危険区域に自宅が含まれているか,理解していたことに驚きました.島は狭いと言う意見も聞きますが,この土地ならではの魅力や,この土地で育ったならではの知識を活かしていって欲しいなと感じました.

 伊豆大島の防災プログラムに参加するのは2回目でしたが,災害からの「いま」を改めて学んだだけでなく,祈念公園のフットサルコートが完成していたり,流路工の工事が進んでいたり,前回に対する「いま」を確認することができました.

 湘南地域出身の自分は,遠足などで海に行くと「あそこに見えるのが大島だよ」とよく教えられていましたが,その場から直接行けるわけではなく,ハードルの高さを感じていました.しかし研究室活動を通じて,大島という素敵な場所を身近な場所と感じられるようになり,嬉しく思います.また大島を訪れる機会が楽しみです.

港区麻布地区震災復興まちづくり訓練

 こんにちは,市古研究室学部4年の眞武・朝部です.今回は,2020年11月から全3回にかけて行われた,「港区麻布地区での震災復興まちづくり訓練」について報告させていただきます.

 「震災復興まちづくり訓練」は,防災訓練が災害直後の行動を訓練するのに対し,災害発生後,中長期的な目線に立ってまちの再建について,事前に地域で話し合い,災害に伴って生じる課題を解決する力をつける訓練のことを指します.今回は麻布地区を3つ分けて,3班で復興訓練を行いました.

 第1回は,市古先生が「現代都市の震災と復興に備える重要性,及び最近の復興事例」というテーマで講演を行なった後,その「感想」・「街の課題」・「心配事」について住民の方同士で意見共有を行いました.意見共有時には,住民の方が抱いていらっしゃる不安や,興味・関心といった住民の方の「防災意識」を知ることができました.

 第2回は,震災1週間後,1ヶ月後,2〜3ヶ月後において,それぞれ「困ること・心配事」,「復興の重点課題」を各地域のマップを使いながら整理しました.話し合いの中で,行事を通した地域のつながりが,復興においても活かせるのではないか,という意見が印象的でした.

 第3回は,これまでの意見をもとに,「被災後の生活の仕方」,「ハード面のまちづくり」,「被災後の地域づくり・コミュニティ」と3つの異なるテーマを各班で扱いながら,被災後の大事な取り組みについて検討しました.麻布地区はとても多様性の高い地域であるため,IT企業や大使館といった様々な主体との連携・協力が必要であり,その橋渡しを港区にしてほしいという意見が多数あがりました.コロナウイルスの影響もあり,予定通りに行かないことが多々ありましたが,「住民」と「港区」が意見を共有する貴重な場となった復興訓練でした.

 私たちは今回の訓練にサポート役として参加させていただき,いくつかの学びを得ました.その中で「地域住民の災害に対する意識」についての学びは,今後ほかの地域でも活かせると感じております.今回の訓練は,災害での被害を具体的にイメージした後,復興について意見出し・議論を行うことで「町会・協議会の横のつながり」の重要性を実感すると同時に,そのつながりを持つきっかけでもある場でした.改めて災害の具体的な被害を考えたからこそ,コミュニティ形成の重要性に実感し,麻布地区の事前復興が形となりました.研究室として,ここで得た学びや課題意識を深め,今後様々な形で応用していきたいです.

 麻布地区をフィールドに卒業研究を行っている学部生二名から,今回の復興訓練及び卒業研究に向けてのコメントです.

眞武:住民の方の率直な意見をお聞きし,文献調査やフィールドワークでは学ぶことができない,街の現状を知ることができた貴重な会でした.今後,訓練に参加された住民の方に,インタビューをさせていただく予定です.このインタビューを通して,麻布地区とは関係が深い再開発と周辺自治体の関係性について明らかにしていきたいと考えております.朝部:今回の訓練では地域住民の方々,とりわけ麻布地区を支える地域リーダーの方々の意見を伺えたため,町会・協議会の活動など地域活動を中心にこの地区について学ばせていただきました.私は「坂」に着目した研究を行っています.この訓練で得たデータをまとめ,地域住民が坂に持つ愛着・不安を地図化した上でフィールドワークを行い,より深い考察に繋げます.

朝部:今回の訓練では地域住民の方々,とりわけ麻布地区を支える地域リーダーの方々の意見を伺えたため,町会・協議会の活動など地域活動を中心にこの地区について学ばせていただきました.私は「坂」に着目した研究を行っています.この訓練で得たデータをまとめ,地域住民が坂に持つ愛着・不安を地図化した上でフィールドワークを行い,より深い考察に繋げます.

八王子市上柚木地区回覧型防災ワークショップ

 南大沢キャンパスから目と鼻の先の上柚木地区.東日本大震災を契機として,青少年指導育成会が地域防災活動を担っています.今年度はコロナ渦の中,これまでのグループワーク形式ではなく「回覧型」で企画実施し,親子で愛宕小体育館を回る形式で進行しました.研究室からは「紙管間仕切り体験」と「災害トイレ体験」を企画提供.災害トイレは,事前に研究室で試行実験も行った上で,当日に臨みました.