山口県瀬戸内地域の架橋離島調査

 こんにちは!学部3年の高松です.
 2023年12月28日から2日間,地元である山口県東部地域の架橋離島の調査に行って参りました.
 私は平時は本土と繋がっている架橋離島が事故や災害で本土と寸断された際にどのような対策が考えられるかを卒業論文のテーマにしたいと考えています.その中で実際に事故や災害で本土と寸断され孤立状態に陥った下松市笠戸島や上関町長島を実際に目にすることができ,また地元である周南市粭島では鼓南をよくする会の温品徹会長を始めとした方々に貴重なお話を聞かせて頂くなどの得難い経験をすることができました.
初日の28日には,まず2018年7月豪雨で道路が寸断され孤立状態に陥った下松市笠戸島に訪れました.笠戸島では本浦地区や深浦地区などの美しい漁村集落をみることができました.一方で集落内にある小学校が公民館になっているなど,過疎化が進行している状況もみることができました.そのような中で集落内には地域担当者制度と書かれた職員の顔写真付きのポスターが貼られており,下松市が顔の見える地域支援を行っていることには驚きました.
また2018年に起きた土砂災害の爪痕もみることができ,道中では大規模な崩落防止工事が行われていました.そして2018年豪雨で物資輸送の拠点となった新笠戸ドックでは,巨大なコンテナ船が建造されており,その迫力に驚きました.
 その後2021年の事故で橋が一時期通行止めとなった上関町長島に訪れました.長島では美しい石壁と,家々が密集した漁村集落の様子をみることができました.また長島は島の先端部が放射性廃棄物の中間貯蔵施設建設予定地とされており,様々な議論が行われていますが島内の集落にはこの建設を巡るポスターや横断幕が一つもないのには驚きました.その後は海岸線に浮かぶ美しい夕日を眺めながら周南市中心部へと戻りました.
 2日目は地元であり,2006年の豪雨によって一時孤立状態に陥った周南市粭島に向かいました.道中では日本精蝋徳山工場の石油タンクが連なっている様子を見ることができました.また粭島島内では,丁度移動販売車がやってきており住民の方々が買い物をされていました.
 その後,鼓南をよくする会会長である温品徹さんが経営されているホーランエー食堂にて温品さんにインタビューをさせていただきました.温品さんは粭島を含む鼓南地区で地域の困りごとを解決し,地域を盛り上げていこうとする鼓南をよくする会の会長をされており,約30名が所属しているとのことです.まず地域の困りごとを解決するという点では,お助け隊という有償ボランティアを運営されており,耕作放棄地の草刈りから台所仕事まで地域の人の困りごとの解決に取り組まれているそうです.また地域を盛り上げる活動では,島の対岸にある日本精蝋とコラボしたカレンダーの作成や,大豆から栽培する味噌づくり,竹灯籠の作成などを行われているそうです.一方で取り組みの課題として,温品さん以外に地域に積極的に関わる人を増やすことを挙げられていました.私も一人の力では限界があることから,粭島に限らず地域を盛り上げる際には多くの人が積極的に関わっていくことが重要であると感じました.また温品さんは消防団にも入られていることから,鼓南地区の消防団活動や防災についてもお話を聞くことができました.まず消防団については,鼓南地区に居住しており仕事場も鼓南地区内であれば加入することができるなど,非常に開けた運用がされていることに驚きました.一方で防災については,2006年の災害では早期に船による輸送がおこなわれたことから孤立したというイメージはないというのが印象的で,孤立時における海上輸送の重要性を理解することができました.
 次に2006年の災害当時に粭島の連合自治会長をされていた高松順輔さんにお話を聞くことができました.順輔さんは2006年の災害対応について詳細に語ってくださり,また当時の対応について行政に対して問い合わせもしていただきました.一方で近年の課題としては,台風などの災害時の避難先が島内の粭島市民センターではなく大島市民センターへ避難しなければならなくなり高齢者等の避難が難しくなっているというお話を聞くことができました.
 最後に現連合自治会長の香川里ひろさんにお話を伺う事ができました.香川さんは連合自治会長として防犯灯の管理や台風時の防波堤管理,市議会議員への陳情等を行われているということでした.その中で,市から依頼された仕事が多い一方で市からの報奨金が年数万円であるということに対して,自治会に対する人,お金の援助を強く求められていたのが非常に印象的でした.
 今回の調査においては,インタビュー場所を提供してくださり順輔さんや香川さんに連絡を取っていただくなど温品徹さんに大変お世話になり感謝申し上げたいと思います.また,インタビューの中では香川さんの災害対策はお金があれば無限にできると言われていたのが非常に印象に残りました.しかしながら粭島を始めとする多くの地域では地形や予算,人員不足の問題により代替路の確保や避難所に課題を抱えているところが多いと実感することができました.調査を行ってから僅か数日後に発生した能登半島地震においても,道路の寸断が発生し多くの孤立地域が発生しました.そうした中において,海上を活用した物資の輸送などの孤立地域へのいち早い援助の仕方や,人口が少ない中での避難所運営などを考えていく必要があると強く感じました.
 初めてのブログ投稿で拙い箇所も数多くあったかと思いますが,最後まで読んでいただきありがとうございました.

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