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町田高ヶ坂地区事前復興まちづくり訓練

 こんにちは!市古研究室学部3年の横山と佐藤です!
 今回は,2025年11月15日(土)町田市国際版画美術館にて,町田市高ヶ坂地区の8町会にご参加いただき実施しました「高ヶ坂地区復興まちづくり訓練」について報告します!

 まずは当日のスケジュール・成果(ワーク内容,出た意見など) について横山から報告します.
 この訓練は,マグニチュード7(M7級)の直下型地震を想定した被害想定を基に,発災後の「くらし・すまい・まちの復興」を住民の皆様と共に深く考えることを目的としました.
 ワーク1では,参加者は「家族ロールカード」と「住家被害カード」を基に,大震災後の「わが家のくらしの回復」について具体的に考えました.避難先について,一部の町会では,公的な避難所だけでなく,自治会で独自に集会所を借り上げて一時避難所を確保し,水や非常食などを備蓄していることが共有されました.ロールプレイでは,本震直後に学校避難施設へ向かうのではなく,「近くの町内会会館や公共施設」を一時避難所として選択する意見が多く出されました.特に,要避難支援者(車いす利用者)のロールでは,介助者がいなければ学校避難所へたどり着くのは難しいという,避難行動における現実的な課題も浮き彫りになりました.このロールプレイは,参加者がペット問題や介護の必要性,避難先での同居への不安など,災害後の生活で起こりうる問題について,客観的な立場で深く考える良い機会となりました.
 ワーク2では,高ヶ坂地区での大震災後の「くらし・すまい・まちの回復方針」として,「災害時・復興時における地域の課題・資源」や「復興協議会(地域復興の体制)のあり方」について議論しました.復旧・復興への意識に関しては,「ライフライン復旧を最優先にした上で,その後,被害状況に応じて,原型復旧ではなく歩道を確保するなどの『復興』を検討・提案していくべき」という,将来を見据えた積極的な意見が出されました.一方で,「権利関係を理由に復興自体ができないのではないか」という現実的な意見や,基本は現況復旧で進めざるを得ないという考えもあり,早期復旧と復興のバランスについて活発な議論が行われました.
 地域特有の課題として,道路の狭さや私道の多さ,外部と接続する道路が限られている点,高低差のある地形などが,復興時のネックになるという懸念が多く共有されました.また,古い共同住宅群を抱える自治会からは,空き部屋が100戸ほどあるという現状を逆に利用し,これを「みなし仮設住宅」として活用できる可能性があるという,地域資源に着目したアイデアも出されました.避難所である町二中だけでなく,芹ヶ谷公園の広場をテント設営スペースやトイレ・給水・物資配布の拠点として活用すべきではないかという具体的な意見も出されました.地域連携と体制については,町内会単位の対応には限界があるため,周辺自治会や避難所との連携,広域な連合会としての対応の必要性が認識されました.地域復興協議会(のような組織)については,避難所ごとに設置されている「避難所施設運営委員会」を元にする案も提示されました.
 参加された皆様からは,日頃から常に防災のことを考えて生活する意識の高さがうかがえ,今回の訓練を通して,自治会同士の相互理解や,新たな課題の発見につながる貴重な機会となりました.今回の訓練で出された住民の皆様の思いや具体的なアイデアは,今後の高ヶ坂地区の「事前復興計画」の検討に活かされていく予定です.

 ここからは佐藤から,参加した皆さんの感想のまとめをお届けします!
 私たち学部3年と院1年は今年が初めての参加となりましたが,院2年と学部4年の先輩方は去年に引き続きの参加となったため,それぞれ様々な感想があったようです.
今回のワークショップでは,地域の防災意識の高さに改めて驚かされる場面が多くありました.参加者の方々は日頃から災害への備えを真剣に考えており,議論の中でも具体的な課題や行動のイメージが自然に共有されていました.特に,ロールプレイ形式を取り入れたワーク1では,家族カードの情報を補いながら現実的な状況を想定し,他者の立場に立って考えることで共助の重要性を実感する声が多く聞かれました.災害後の生活で起こりうる問題を自由に話しやすい雰囲気があり,支援の見落としを防ぐきっかけにもなったとの感想も寄せられています.
 一方で,議論が設問から派生しやすい場面もあり,ファシリテーターや補助者がさりげなく方向を修正する工夫が求められることも分かりました.参加者が迷った際に「ではこう考えてみるとどうでしょうか」と誘導することで議論がスムーズに進んだり,趣旨を丁寧に説明し直すことで停滞しかけた話が再び活発になったりと,進行の工夫が効果的に働いた場面もありました.議論が本題から逸れた際に,雰囲気を壊さずに舵を戻す技術の必要性を感じたという声もありました.
 ワーク2では,地域の課題や資源について多様な意見が出され,地図に直接落とし込むことで具体的な場所と結びつけながら議論が展開されました.復旧を優先するか,時間をかけても復興を目指すかといった考え方の違いが鮮明に表れ,地域への思いや価値観の多様性が浮かび上がったことも印象的でした.自治会を越えた連携の可能性や,行政との協働によって防災施策の選択肢が広がることへの期待も語られています.
学生側からは,事前にプレワークを行うことで当日の進行が理解しやすくなること,記録作業や書記力の不足を補うために事前の役割分担や意思共有が必要であることなど,運営面での反省も挙げられました.また,ワークの狙いや設定の意図を事前に説明することで参加者の理解が深まり,議論がより活発になるのではないかという提案もありました.住民の声を丁寧に引き出し,柔軟に論点を切り替える姿勢を間近で学べたことは,将来のまちづくりに関わる上で大きな学びとなったとの感想も寄せられています.
 全体を通して,住民の防災意識の高さと積極的な参加姿勢が際立ち,学生にとっても多くの学びと課題を得る機会となりました.今回の経験を次につなげることで,地域全体の防災力向上に寄与できるのではないかと感じられるワークショップとなりました.

気仙沼鹿折まちづくり協議会訪問と提案型まちづくり学習

 こんにちは,B3の伊佐と澤渡です.今回は,2025年10月31日から11月1日にかけて行った鹿折調査についてご報告します.
 今回の調査では,事前勉強会から現地視察までを通して,「大船渡線跡地活用」「避難施設」「復興商店街」の3つのテーマに分かれて活動しました.

 一ノ関駅に到着後,各班で現地視察を行いました.以下に,班ごとの活動内容を紹介します.
 大船渡線班は,鹿折まちづくり協議会の会長さんにご案内いただきながら,角星小学校,上鹿折駅,金山資料館,鹿折小学校,鹿折唐桑駅を訪問しました.昨年の調査で訪れた場所もあり,1年間での変化も実感しました.現地を実際に歩き,地域の方々から直接お話を伺うことで,資料だけでは得られない多くの気づきを得ることができました.
 避難施設班は,東日本大震災後に建設された鹿折南住宅と,今年7月31日に発生したカムチャツカ地震の際に避難所として利用された鹿折中学校を訪問しました.南住宅は津波避難ビルに指定されており,災害時には屋上への垂直避難が可能です.備蓄倉庫見学と垂直避難の体験をした後,実際の避難経路を歩いて鹿折中学校を訪れました.現地では,体育館や渡り廊下などカムチャツカ地震で実際に利用された場所を見学し,当時の状況についてお話を伺いました.
 復興商店街班は,5つの事業者様にインタビューを行いました.浜商栄会に加盟している店舗と,加盟していない店舗の両方にお話を伺うことができたため,多角的な視点で当時の様子や現状を把握することができました.インタビューを通して,広報やイベント内容などのソフト面の課題のほか,世代間・店舗間の意識の違いといった組織的な課題も見えてきました.
 夜には,鹿折まちづくり協議会の皆さまと交流会を行いました.地元の方々に教わりながら魚をさばき,自分たちで調理した料理をいただくという貴重な体験ができました.3か月前からメニューを考えてくださったと伺い,温かい心遣いに感動しました.
 二日目の午前は,鹿折まちづくり協議会の方々をお迎えし,事前調査および初日に行った現地視察・インタビューの成果を各班から発表しました.その後の意見交換では,学生だけでは気づかなかった視点からの意見をいただき,大変勉強になりました.一方で,議論の進め方に課題も見つかり,今後の反省と改善につなげていきたいと思います.
 午後は,二班に分かれ,リアス・アーク美術館と,陸前高田にある東日本大震災津波伝承館を訪問しました.私たちは後者を訪れました.震災遺構として保存されている気仙中学校では,三階建ての校舎の屋上まで津波が到達したことが示されており改めて被害の甚大さを実感しました.避難できなかった人を置き去りにせざるを得なかった苦悩や,流されていく人を目の前にして何もできなかった無力感など,被災者の生の声に深い衝撃を受けました.津波映像の視聴を通して,これまで想像でしか捉えられていなかった災害の現実を強く感じました.

 今回の調査では,事前調査では見えなかった地域の実情を直接知ることができ,多くの学びと気づきを得ました.まちづくり協議会の方々から「外部からの目がなければ気づかないこともある」との言葉をいただき,私たちの活動が少しでもお役に立てたことを嬉しく思いました.
 最後に,今回の調査にご協力くださったまちづくり協議会の皆さま,インタビューを受けてくださった皆さまに,心より感謝申し上げます.

能登半島地震21ヶ月(1年9ヶ月) 研究室 復興訪問調査 

 市古研究室学部3年の伊佐です.今回は2025年3月に引き続き,9月に行った能登半島地震復興調査ついて報告します.
 調査1日目の9月15日は,輪島市金蔵地区を訪れました.金蔵地区では,フィールドワークとして,20241月1日に発生した能登半島地震による建物の被害・復興状況,耕作地の利用状況調査を行いました.また,NPO法人金蔵学校の石崎さんに金蔵再生のための活動や今後の復興ついてインタビュー調査を行いました.
 実際に訪れて感じたのは,静かな山あいにありながらも人と自然,暮らしがしっかり息づいている集落だということです.果樹園づくり,地元産の味噌・野草茶など,地域資源を活かした新たな取組が進められており,挑戦と創造の集落であると感じました.また,お昼にジビエカレーをいただいたのですが,お肉が柔らかくてとてもおいしかったと同時に,金蔵で捕ったイノシシ肉を使用しているため害獣駆除や地産食材を活かす生活文化の深さを実感しました.
 金蔵集落の調査で最も印象的だったことは,石崎さんの「平時から地域の人同士でお互いに思いやりや感謝の気持ちを大切にすること」という言葉です.金蔵では「総がかり」と呼ばれる助け合いの精神があり,震災時にも買い出しや支援物資の提供を交代で行うなど,思いやりを基盤にした支援が自然に行われていたと伺いました.ルールや義務ではなく,人と人との信頼に基づく助け合いが地域の力となっている点が印象的でした.また,「帰る場所,心の拠り所としてのふるさとを残したい」という言葉からは,変化の激しい現代においても“変わらない価値”を大切にしようとする強い意思が感じられました.石崎さんは,地域の課題や取り組みの成果を冷静に見つめながらも,諦めずに挑戦を続けており,その姿勢に深い尊敬の念を抱きました.


 はじめまして,市古研究室学部3年の佐藤綾です!
 調査2日目の9月16日は,2班に分かれて甲地区の資源マップを作成するため,フィールドワークを行いました.その後,能登半島地震の際に避難所として利用された旧兜小学校の見学をした後,かねてからB4の居山さんと親交があった東井栗園さんで栗拾いの体験をさせていただきました.
 甲地区でのフィールドワークを通じて,私たちは「残したい」「伝えたい」と思える風景や営みに数多く出会いました.それは,黒瓦の家並みや海と山の近さ,静けさに包まれた暮らし,そして人の温かさなど様々です.参加者それぞれが見つけた「甲らしさ」は少しずつ異なりながらも,共通していたのは「甲の魅力を,未来へどうつなぐか」という問いであると感じました.
多くの参加者が注目したのは,甲の「風景」と「人の営み」が織りなす独自の価値です.海と山が視界に同居する地形や,海のそばに広がる家庭菜園と畑.自然と暮らしが地続きであることが,甲の大きな魅力として語られました.黒瓦と木材で統一された家並みは,バラバラに建つ家々の中に不思議な調和を生み出し,地域の歴史や文化を象徴する景観資源となっています.
 震災後に整備された「ボラ待ち館」や旧甲駅など,復興の記憶と未来の拠点としての可能性を秘めた場所も,継承すべき大切な資源です.また,静けさや水の音,虫の声といった「音の風景」や,住民の温かさ,外からの人を受け入れる寛容さも,目に見えない資源として印象に残りました.
 一方でらこれらを守り続けるには,人口減少や高齢化による担い手不足や外部との関わりのバランスなど,課題もあることが改めてわかりました.

 参加者が考えた兜の魅力を伝えるキャッチコピーには,甲の魅力がぎゅっと詰まっていました.

    • 「海と山,ひとつの場所で2つの絶景」
    • 「バラバラなのに,ひとつになるまち甲」
    • 「賑わいすぎない心地よさ」
    • 「いつかあなたも帰りたくなる場所,かぶと」
    • 「海と山と人と,ぜんぶがちかくて,いいところ.」
    • 「畑から,庭から,自然から,植彩のまち甲」
    • 「能登の原風景まるっと,穴水・甲」
    • 「重ねた時代が響き合う,甲のまち並み」
    • 「自然と人が織りなす,心地よい風景」
    • 「思い,思われ,思いやり」
    • 「自然と人とが共存共栄するまち」
    • 「海と共存した生活風景」

どの言葉にも,甲で感じた風景や人の姿,そしてそこに流れる時間への敬意が込められていました.甲地区の魅力を肌で感じたり,避難所運営後そのまま残る旧兜小学校を見学したり,栗拾いをして甲のすてきなお土産をゲットしたりと,盛りだくさんな2日目となりました!

 市古研究室学部3年の横山茉衣です.
 調査3日目の9月17日は,七尾市内の各地域で班ごとに現地調査を行いました.金蔵地区では住民協議会の方々へのヒアリング,自由調査班は和倉温泉周辺の被害状況の確認を行うなど,地域ごとの状況を多角的に捉える活動となりました.私はその中で,七尾市の矢田郷地区コミュニティセンターを訪問しました. 
 矢田郷地区コミュニティセンターでは,事務局長の関軒さんから,地震発生直後から現在までの避難所運営について伺いました.センターは発災当日から避難所として開設され,地域の人々の避難先であると同時に,物資支援の中継拠点としても機能していたそうです.事務局長をはじめ職員の方々は,「当初は避難場所と避難所の違いも知らないほど,防災の知識がなかった」と話してくださいました.それでも,事務局長ご自身を含め皆さんが被災者として混乱のさなかにありながらも,コミュニティセンターに避難してきた人々を守るために,「人々のために必要だと思ったことはすぐに行う」という気概でさまざまな対応をされていたと伺いました.その姿勢に,想定外の状況にも臨機応変に対応する行動力と地域への強い思いを感じ,深く印象に残りました.特に心に残ったのは,「STAFF」ではなく「困り事・ご相談」と書かれたビブスを着用していたというお話です.職員を “運営側”として線を引くのではなく,同じ立場で支え合う姿勢が感じられました.また,複数の部屋を活用して家族ごとに避難できるよう調整したり,子どもが安心して過ごせるスペースを確保したりと,福祉避難所に近い形で運営が行われていたことも印象的でした.避難所内には花やメッセージボード,テレビでのお笑い番組なども取り入れられ,心の疲れを和らげる工夫も多く見られ,こうした細やかな配慮の積み重ねに,現場の温かさと経験に基づく知恵を感じました.また,こうした取り組みの背景には,地震以前から続く地域内のつながりと信頼関係があったことも大きかったといいます.
 こうしたお話を伺う中で,災害時の対応力は特別な仕組みだけで生まれるものではなく,普段からの顔の見える関係づくりや,地域に対する思いの積み重ねの上に成り立っていることを感じました.矢田郷での経験を通して,地域の力とは何かを改めて考えるきっかけになりました.
 今回の能登半島地震復興調査を通して,地域の方々がそれぞれの立場で復興に向き合う姿や,日々の暮らしの中に息づく支え合いの力を目の当たりにしました.現地では被災の爪痕がいまだ残る一方で,その中でも前を向いて歩もうとする人々の思いが確かに息づいており,地域に根ざした復興のあり方について深く考えさせられました.現場で見た光景や伺ったお話の一つひとつから,地域の方々が互いに支え合いながら日常を取り戻そうとする強さを改めて感じました.また,調査を通して先輩方の行動力や周囲への気配りにも大きな刺激を受けました.インタビューの準備や進行だけでなく,後輩の動きにも常に目を配りながら活動を進める姿を見て,自分達も今後はより広い視野を持って行動したいと感じました.B3として研究室に加わったばかりですが,今回の能登調査を通じて多くの学びや気づきを得ることができました.今後は,先輩方の姿を手本に,主体的に考え行動しながら,研究室での学びをさらに深めていきたいと思います.

上柚木防災ワークショップへの研究室アウトリーチ活動

 はじめまして.学部3年の澤渡です.2025年9月20日に八王子市立上柚木小学校で開かれた「上柚木防災ワークショップ」についてご報告します.
 今回のワークショップでは,研究室メンバーは主に通報訓練,自主防災組織顔合わせ会,グループトークに携わらせていただきました.
 通報訓練では,黒板に貼られたイラストの状況に合わせて,実戦形式で通報の練習を行いました.電話をかける機会自体が減ってきている今の時代だからこそ,いざというときにパニックにならないためにも大切な経験になると感じました.
 自主防災組織顔合わせ会では,地域の方々が積極的に意見を交わし,地域のこれからについて話し合いを行いました.
グループトークでは,「防災アイディアシェアグループ」「赤ちゃん防災グループ」「地域の福祉と高齢者グループ」に分かれて,災害対策や課題について話し合いました.参加者一人ひとりが主体的に考え,個人や地域の防災力向上に向けたアイデアを出し合っており,私も多くの学びを得ることができました.
 また,子ども防災教室では,小学生が情報収集からスライドの作成,発表まで自分たちで行っていました.「来年も自分ができることを考えて参加したい」と発言している生徒さんもおり,一度きりの体験会ではなく,今後につなげようとしている姿が心強かったです.
その他,起震車やAED体験,避難所に設置されるテントや仮設トイレの展示など,体験を通して学べる内容が充実していました.
 今回の経験を通して,上柚木防災ワークショップは,住民同士が防災意識を高め合い,助け合える関係づくりの場として重要な役割を果たしていると実感しました.私自身も今回 の活動で得た気づきを,今後の学びに活かしていきたいと思います.ありがとうございました.

「祖霊のともしび」の運営支援ボランティアに参加して

 こんにちは.市古研究室学部4年の宇都木葵です.2025年8月14日から16日にかけて,CS-Tokyo能登半島地震ボランティアプログラムに参加し,輪島市町野町の金蔵集落で8月15日に催された「祖霊のともしび」の運営支援を行いました.今回はその報告記事を書かせていただきます.

 祖霊のともしびとは,能登半島地震の復興を願って,正願寺に 4,000本のろうそくを灯す行事です.金蔵集落は私の卒業研究の調査対象地でもあり,これまでに二度訪問したことがありましたが,ボランティアとして訪問するのは今回が初めてでした.調査対象地として集落への理解を深めるだけでなく,私自身が集落に対して何か貢献したいという思いで,今回のプログラムへの参加を決めました.

 1日目には「祖霊のともしび」の主催者である I さんからお話を伺いました.I さんは NPO 法人金蔵学校の理事長を務めておられ,多様な地域活動を手がけてこられました.金蔵学校は,最初は有志3名による「考えてみよう会」から始まり,過疎化の現実に向き合う試みでした.I さんはこの段階を「第1ステージ」とし,ただ考えるだけでは変化は生まれないとして,NPO 法人金蔵学校を設立し,食談義,パソコン教室,万燈会,特産品開発などの活動を進めてきた時期を「第2ステージ」と呼んでいます.そして今が「第3ステージ」であり,この「第3ステージ」こそが金蔵の「再生」を実現する段階であると I さんは語ります.I さんは,真の復興とはインフラや住宅を復旧することではなく,そこにある“営み”を取り戻すことだと強く強調されていました.現在 I さんは,廃寺の建物を利活用する計画を進めており,その構想には三つの柱が含まれています.第一に,来訪者が宿泊できるゲストハウスの設置.第二に,金蔵学校の活動拠点の設置.そこでは,能登再生戦略会議の設立や,果樹園づくりによる将来的な農業体験の事業化を目指す「金蔵楽園構想」などを具体化していくことが考えられています.そして第三に,地方での生活を誘致するシェアハウスとしての構想が含まれています.こうした取り組みを通じて,震災を経てもなお,地域の資源を生かしながら,集落の本質的な再生をめざす姿勢には深く感銘を受けました.

 2日目は催事準備を中心に動きました.午前中は,ろうそくをワンカップ瓶に入れ正願寺の境内に並べ,各地から寄せられた復興への願いを書いたメッセージ用紙を瓶の上にかぶせる作業を行いました.その後,開催時刻までの時間を使い,珠洲市方面を視察しました.目にしたのは激しい土砂崩れの跡,地上に設置された水道管,倒壊した家屋の瓦礫など,被災当時から手つかずのまま残る被害の爪痕でした.道中には「みんなのスーパー 長橋食堂」に立ち寄りました.長橋食堂は,ボランティアで能登に来ている女性が営む小さなお店で,1階には日用品が並び,奥には交流スペースとしてテーブルが設けられています.私たちはかき氷をいただき,立ち寄ったおばあさんが持ってこられたキュウリの漬物もお裾分けしていただきました.お店は海沿いの道に建っていますが,震災で隆起した影響で海岸線が離れて風景が大きく変わったと伺いました.また,株式会社珠洲製塩を訪れ,海辺での製塩作業や製塩所の様子を見ることもできました.

 夕方に金蔵に戻り,ろうそくの着火作業を行いました.その後,夕食にIさん特製のイノシシカレーをいただきました.前日から具材を煮込み,スパイスをふんだんに使用した本格的なカレーでとてもおいしかったです.夕食を食べ終え,日が暮れ始めると,続々と正願寺に人が集まり始めました.正願寺のお堂では,トランペットやフルート,歌のコンサートが開催されました.お盆の時期ということもあり,集落住民だけでなくその子や孫なども来場しており,コンサートでは子どもから大人までなじみのある曲が多数演奏され,特に「花は咲く」の演奏には深く心を動かされ思わず涙を流してしまいました.境内に準備したろうそくも日が暮れると一つ一つがキラキラと輝き,とても美しかったです.そして無事に,催事当日を終えることができました.

 3日目の早朝には,穴水の民選委員であるM さんのご自宅を訪問しました.M さんは,復興カフェを通じてボランティアとの関係を築いておられ,地域住民の状況を日頃から把握し,訪問記録や会話記録を残し,必要なときには役所やボランティアにつなぐ役割を担っておられます.2日目の夜にも宿泊拠点に顔を出され,お手製のおかきを差し入れてくださったり,3日目にお宅を訪問した際にも家庭菜園で育てたしそやじゃがいもを私たち全員に分けてくださったりしました.Mさん自身もご高齢でありながらアクティブで,とても温かく,かつしっかりと地域の安全・安心を見守られている方で,地域にとって欠かせない存在だと感じました.その後,正願寺に戻り,ろうそくを回収し,瓶を片付ける作業を行いました.瓶に入っていたろうそくを取り除き,コンテナに詰める作業をもって午前中にはすべての作業を終え,ボランティアとしての行程を終了しました.

 この3日間を通して,能登の方々の温かさにふれ,能登に対して調査対象地としてではなく,支える主体として受け入れていただけた実感を得ることができました.調査としての義務感や,相手に「協力していただいている」という気持ちとは別の立場で訪問することで,より深く感謝される感覚や,人の温もりを感じる機会となりました.この経験を経て,能登や金蔵との距離がより近くなったように感じ,以前にも増して金蔵を大切に思えるようになりました.

穴水町甲集落復興調査

 市古研究室学部4年の居山です.
 立秋を過ぎ,お盆休みも終わりましたが,まだまだ暑い日がつづきますね…. 残暑厳しい中,皆様はいかがお過ごしでしょうか.
 私は資格勉強と旅行計画に追われる毎日を過ごしています.
 さて今回は,今年7月20日から21日にかけて実施した,穴水町甲地区での卒業研究調査についてお伝えしたいと思います!
 市古研究室では,昨年1月の能登半島地震以降,昨年9月,今年3月の計2回の復興ナラティブ調査を実施してきました.
 昨年9月の調査は,私がこの研究室に配属されてから間もない時期で,慌ただしくも充実した3日間を過ごしたことを今でも鮮明に覚えています(笑)
 そして,この調査での経験をきっかけに,卒業研究では「能登復興」を考えたいと強く思うようになりました.
 特に印象に残ったのが,私が研究対象地として設定している,穴水町の「甲」という集落です.能登半島の東側に位置する沿岸集落で,東は富山湾,三方は山に囲まれた,日本の原風景を留める自然豊かな場所です.
 調査にて複数の被災地を巡るなかで,甲は,特に「復興によって明るい兆しが見えるのではないか」と感じました.
 お話を聞かせていただいた方から「甲を絶対になくさない」という思いを聞いて,この集落の復興の様子を追いたい,何か自分にできることはないか,と考えるようになりました.そして,私は「復興するコミュニティにおける居住環境の現状と課題-2024年能登半島地震,石川県鳳珠郡穴水町甲地区を対象として-」というテーマで卒業研究を進めることとしました.
 「居住環境」という言葉の定義は一概には難しいのですが,被災地において特に重要な論点は,①安全性,②利便性の2点だと考えています.私の研究においては,前者については人的交流や地域コミュニティを,後者については買い物や交通について焦点を当てています.甲で暮らす方々を取り巻く「居住環境」の現状を明らかにすることで,この集落の集落の持続可能性を考える一助になればなと.さらに,甲には,「穴水町甲復興団」という復興のキーパーソンが存在します.地元出身の若手メンバー数名によって立ち上げられたこの団体は,毎月1回,集落内の公民館で「甲復興カフェ」を開催しています.誰でも気軽に参加できるこのカフェでは,地域内外の人々が集い,お茶やお菓子を囲みながらざっくばらんに話をすることができる場となっています.3月の調査ではこれを対象に参与観察調査を実施しています.
 
 また,甲復興団の新たな取り組みとして,廃線となった旧のと鉄道能登線の甲駅を活用して賑わい拠点をつくろうという動きがあります.ですが,復興団について書こうと思うととても長くなってしまうので,気になる方は復興団の公式Instagramを是非覗いてみてください!(@anamizu_kabuto_fukkodan)
 そして今回,復興団が主催する「甲駅ランチマーケット」の参与観察調査と,居住環境に関する住民インタビュー調査を行うため,単独調査を実施しました.(同行してくださった市古先生,本当にありがとうございました!)
 7/20,午前の便で羽田空港から能登里山空港に向かい,正午前には甲に到着しました.北陸とはいえ東京と変わらないほど暑く,車から降りて直ぐに汗が噴き出てきました….甲駅前の広場に向かうと,既にランチマーケットが始まっていました.キッチンカーのほか,テントブースでは,餃子やビール,更には復興団のメンバーがつくった野菜やお菓子などが売られています.さらに,穴水町の中心部にあるお蕎麦屋さんの店主による「そば打ち体験」も開催され,会場は賑わいをみせていました.しかし,3月に調査した復興カフェと比べると,他の地域からの参加者はあまりみられませんでした. ただ,当時は構想段階だった「甲駅での賑わいづくり」が,このように実際に形になっているのを目の当たりにしたことで,甲の復興の歩みを確かに感じました.復興団のメンバーをはじめ,甲の方々は,私達のようないわゆる「よそ者」に対しても温かく接してくださいます.ランチマーケットでうろうろしている私達にも気さくに声をかけてくださり,なんと甲の海で採れたサザエの浜焼きを食べさせていただきました!(人生初のサザエでした)
 その日の夜には,復興団メンバーのご家族のお宅にお招きいただき,家庭菜園で採れた食材を使った手料理までご馳走になりました….まるで親戚の家に帰省したような感覚で,一瞬,調査だということを忘れてしまいそうでした(笑)
 
 さて,2日目は,居住環境に関する住民インタビューを行いました.冒頭にてお伝えしたとおり,私の研究では地域コミュニティや買い物,交通に焦点を当てていますが,今回の調査では特に「買い物」事情に関してお話を伺いました.調査に協力してくださった女性お二人は,とてもパワフルな方々で,こちらの質問にも丁寧にお答えくださいました.普段の買い物場所やそこまでの移動手段,さらには住宅の再建に関する問題や復興に向けた不安など,住民目線で見る居住環境の現状について,細かく教えていただくことができました.
 お話のなかで特に心に残ったのは,かつて甲にあった5つの個人商店についてのエピソードです.インタビュー対象のお二方とも,実際にその商店を経営されていた方でした.しかし,今回の地震の影響によって廃業を余儀なくされたとのことです.前日,自宅に呼んでいただいた方に,その商店について伺ったところ,『毎週決まった曜日は仕事を早く切り上げ,そのお店に寄って,お酒を1杯呑んでから家に帰る.行くとつまみも出してくれる.』と教えて頂きました.これらの商店は,単なる買い物場所としてだけではなく,地域住民の憩いの場としても重要な役割を果たしていました.
 しかし,この甲の風景は,地震によって失われました.
 一度失われたものを元に戻すことは非常に困難です.それでも,甲の方々は「もう一度その風景を取り戻したい」と思っているのではないでしょうか. 
 そして,復興団はその思いを受け止め,復興に取り組んでいるように感じます.
 
 こうした甲の方々に対して,私ができることは,居住環境の現状を記録し,分析・考察を通して地域の方々に還元することだと思っています.
 卒業研究の最終地点であるポスターセッションまであと半年ほどですが,研究,旅行,研究,資格,研究…, それぞれを全力で取り組み,やり切りたいと思います.


 いまを大切に,頑張ります.

能登復興ナラティブ調査(2025/Sep)事前勉強会/B3歓迎会

 みなさんこんにちは.都市防災・災害復興研究室 学部4年の福井貫太と申します.
 9月15日から17日にかけて実施する「能登半島復興ナラティブ調査」の事前勉強会を,3年生の歓迎会を兼ねて行いましたので,ご報告したいと思います.
本年も市古研究室には新たに4名の3年生が加わりました.私自身も卒業研究に取りかかって1年が経過するのかと思うと,少し“老いた”気分になります.

[事前勉強会]
 最初に行われた能登半島復興ナラティブ調査の事前勉強会では,能登を事例に卒業研究に取り組む居山・宇都木・福井の3名から,調査計画について発表を行いました.昨年度の成果を踏まえつつ,能登半島地震からの復興の現状を多角的に捉えるための視点や,現地でのインタビュー項目などを共有しました.
 私自身も和倉温泉でのインタビュー調査を予定しており,調査に向けてわくわくするとともに,身が引き締まる思いでした.

 さらに,今年度から新しく研究室に加わった3年生には,能登半島地震の復興に関する事前学習に取り組んでもらうことになりました.各テーマには4年生がメンターとして付き,ペアで学びを深めていきます.
 学習テーマは次の4つです.
A)野菜直売所とその担い手(メンター:宇都木)
B)2024年能登半島地震の仮設商店街の開業プロセスと現時点での成果(メンター:居山)
C)金沢市を訪問する外国人旅行者と能登半島地震(メンター:小野)
D)能登半島復興における和倉温泉の立ち位置(メンター:福井)
 それぞれのテーマを通じて,3年生たちは能登の復興のあり方を自分たちなりに考え,8月21日の発表に向けて準備を進めていきます.私たち4年生もメンターとしてサポートしながら,一緒に学び,成長していければと思います.

[歓迎会]
 会議終了後は,南大沢駅前の居酒屋で歓迎会を行いました.研究室のメンバー全員で集まって飲みに行く機会はなかなかないため,とても貴重な時間となりました.今年の3月に修士課程を修了された山口さんにもご参加いただき,終始にぎやかな雰囲気で楽しいひとときを過ごしました.

 1日を通して,3年生との交流に加え,9月に実施する能登調査への意欲が一層高まりました.私は3日目の和倉温泉での調査を担当しますが,すぐ先に控えている卒業論文の執筆に向けて,実りある調査にしていきたいと思います.

TMU_DR-Lab.はこんな研究室です〜

 はじめまして.修士2年の山口さくらと申します.
 市古研究室に入って2年目になりますが,初めて担当します.(決してさぼったり避けたりしていたわけではありません.)今回は,研究室の特徴をご紹介します.(過去の記事もぜひご覧ください!)ちょうどB3は研究室選びの時期,また,大学院入試も近づいていると思いますので,ぜひ研究室の雰囲気を感じ取っていただければ幸いです.

《PC環境が良い》
Windowsが6台,Macが1台あります.そのうち,Windows3台はメモリがなんと64GBもあります.これは,大学の共用のPCよりもハイスペックです.私の研究は膨大な計算を伴いますが,このPCのおかげで,難なく計算を行うことができています.特に席は決まっていませんが,研究室に高頻度で来る人は,机に私物を置いたりして,陣取っています.私はやる気を出すために色々持ち込んだ結果,とてもにぎやかになりました.

《コアタイムがない》
 市古研究室では,隔週の研究室会議以外に特定のコアタイムはなく,研究の進め方は基本的に自由です.私のように研究室に来て作業をする人もいれば,自宅や図書館など,自分に合った場所で研究を進めている人もいます.それぞれが自分のペースを大切にしながら,しっかりと成果を出しているのが印象的です.
 スケジュールの自由度が高いため,旅行やライブなどプライベートの予定とも両立しやすく,研究室メンバーは皆,オン・オフをうまく切り替えて生活を楽しんでいます.私は去年で選択必修をすべて履修し終えたため,平日は特に予定がなければ昼前に研究室に来て,夕方ごろまで作業を進めています.無理なく続けられる環境が整っているのも,この研究室の魅力の一つだと思います.

《個性豊かな学生の集まり》
 市古研究室には,個性豊かで多様なバックグラウンドを持つ学生が集まっています.防災・復興という共通のテーマのもと,それぞれが異なるアプローチで研究を進めており,一人ひとりが専門性を持っています.特に大学院生は他大学・他分野から進学してきた人が多く,これまで自分になかった視点や知識を共有してもらえるため,日々刺激を受けています.また,研究室のメンバーは出身地や趣味も十人十色です.最近は出身高校の変わった伝統や方言の話で盛り上がりました.(「おっとっととっとってっていっとったとになんでとっとってくれんかったとっていっとーと」←これを一発で読めた人は私の仲間です.)いつも笑いが絶えない楽しい研究室だと思います.

 このほかにも,市古研究室ではさまざまな活動が行われています.
★ 被災地でのナラティブ調査(当事者の声に耳を傾ける大切な機会です)
★ まちづくりに関わるワークショップへの参加(地域のリアルな課題に触れられます)
★ 懇親会,ランチ会など(研究の話から雑談まで,ざっくばらんに話せる貴重な時間)

 こうしたイベントも含めて,研究だけにとどまらない学びがたくさんあるのが市古研究室のいいところだと思います.気になった方は研究室見学など,いつでも覗きに来てください!

能登半島地震15ヶ月 集落復興訪問調査 

 こんにちは!市古研究室修士1年の和多田と学部4年の小野です.ブログは今回が初めての執筆につき,拙い文章で恐縮ですが,最後までお付き合いいただけますと幸いです.
今回は,2025年3月に行った能登半島地震調査について報告したいと思います.

 2024年(令和6年)1月1日に発生した能登半島地震は,石川県を中心に甚大な被害をもたらしました.当研究室では,昨年の9月に引き続き,この地震による被害状況の調査と,防災・減災に向けた研究のため,現地調査を実施しました.
 
 ここからは和多田がお送りします.
 1日目は,石川県鳳珠郡穴水町にある甲集落を訪れました.甲集落では,区長に震災発生時の集落の状況や避難所での避難生活などについて,お話を伺いました.区長のお話から,行政の支援が難しい中,避難所では住民主体の自主的な避難所運営が行われていたことがわかりました.区長によると,避難者同士が協力し合い,自主的に役割分担をしながら生活環境の維持に努めていたといいます.このような行政に頼らない避難所の自主運営が可能であったのは,住民の強い結束力と主体性によるものだと感じました.
 また,街歩きでは,昨年訪問したときよりも公費解体が進んでおり,荒廃していた土地も手入れされていることが見て取れました.集落内の土地を綺麗に整えることは,集落の復興のために必要なことだとは思いますが,一方で,かつての風景や住民の暮らしの痕跡が失われつつあることに,少なからず寂しさを感じました.整備が進むことは復興の証ではありますが,同時に,地域の歴史や記憶が薄れていく側面もあるのではないかと考えさせられました.
 蛇足ですが,立山連峰が海の上に浮かんで見える眺望や海からの潮風の匂い,瓦葺きの屋根が並んでいる街の眺めは,個人的な甲集落のお気に入りポイントです.

 2日目は,珠洲方面に向かう組と輪島市にある金蔵集落に向かう組と二手に分かれて,それぞれ調査を行いました.金蔵集落には世界農業遺産にも登録された里山の風景が広がっており,美しい棚田の景観が守られています.区長へのインタビューから,金蔵地区への想いや金蔵を守りたいと考える原動力について深く理解することができました.特に,「不安」が原動力であるという点には共感しました.一般的に,不安という感情はネガティブなものと捉えられがちですが,一方で私たちを行動へと駆り立てる重要な力にもなり得ると考えます.そのため,不安を感じたときこそ,自分を成長させるチャンスと捉え,前向きに行動していきたいと感じました.
 また,かつては,稲作を5~7家族で共同管理していたことから「共同体」という考え方が生まれました.しかし,機械化の進展により,1人でも稲作が可能になり,その結果,過疎化が進み,さらには共同体の崩壊につながったという指摘が印象的でした.共同体の在り方は,復興や防災の面でも重要な意味を持つと感じました.

 ここからは小野がお送りします.
 3日目は,矢田郷でインタビューを行うグループと,和倉温泉街の散策調査及び合資会社の方へインタビューを行うグループの2手に分かれました.私は自身の卒業研究に関するインタビュー調査で金沢へ向かうため,後者の散策調査のみ参加しました.

 前回の9月訪問時と比較して,道路の修復状況を見るに,またご在住の方からのお話もあり,復旧・復興は本当に少しずつではありますが進んでいるように感じました.また今回,実際に和倉温泉で宿泊し,周辺の小売店や飲食店を利用し,観光バスを見かけたことからも,観光業の回復の兆しを身をもって感じました.加えて,宿泊先の従業員さんのお話からボランティアで訪れる方の多さを知り,またクラウドファンディングを用いた飲食店があるなど,地域外の方々を引き込んでいることが印象的でした.これは和倉温泉に限らず,能登半島の今後の復興の重要な観点だと考えます.

 蛇足ですが,いつもストイックになりがちな調査だからこそ,研究室メンバー一同,宿泊先の温泉には大変に癒されている模様でした.もう温泉は必須項目にしませんか…(涙)

 4日目の午前中は,石川県立図書館に行きました.
 入ってみてまず目を引いたのは,その特徴的な構造です.巨大な吹き抜けとなっており,円形に配置された本棚が織りなす光景は劇場のようです.そしていたるところに様々な形状の椅子がちりばめられており,自分のお気に入りを見つけて,じっくりと本に向き合うことができる空間がありました.それはこどもエリアでも際立っていて,アスレチックのようなネットもあり,屋外空間があったりと,場の充実さが感じられました.多彩な交流貸スペースの他,カフェも併設されていて,実際に利用してみて,その居心地の良さや,愛称の「百万石ビブリオバウム」に込められた思いを実感できました.
 午後は長町武家屋敷跡に行き,金沢市の統計からも見えていたような外国人旅行者の関心の高さを実感できたほか,景観地区として守られてきた重要な歴史の一片を伺うことができたと感じます.
 
 5日目は,私の卒業研究に関して,2024年能登半島地震の前後における在留外国人・訪日外国人旅行者対応に関して,石川県庁の方々にインタビューを行いました.発災当時,金沢市内の旅行者には特段大きな混乱は見られなかったものの,特に能登半島地域の在留外国人への対応については,関係機関との連携の重要性や今後の課題が浮き彫りになりました.

 防災と関連付けるにあたり,在留外国人と訪日外国人のどちらを主眼に置くべきか悩んだ末,卒業論文では後者に焦点を当てることにしていました.今回のインタビューを通じて,両者の災害時における具体的な課題や現場の対応の実態をより深く理解することができました.これまで文献調査だけでは得られなかった情報や意見を伺うことで,研究にさらなる厚みを加えられそうです.

 さて,写真でお分かりだと思いますが,実は金沢には某同期がついてきてくれました.研究室所属前のプロジェクトから,留学中,そして帰国後も何かと支えてもらっていて,最後まで心強かったです.5日間本当にお疲れ様,そして今までありがとう(大泣)

 私としては,今回のインタビューを活かして今後の約1年間でさらに多くの知見を深め,5年間の集大成として納得のいく卒業論文を完成させたいと思います.長くなりましたが,ここまでお読みいただきありがとうございました!

2024年度TMU_DR-Lab. B3卒業研究Ⅰ中間報告会

 はじめまして!市古研究室学部3年の居山です.
 昨年秋にこの研究室に加入して以来,はじめてBLOG担当を務めます!よろしくお願いします.
 さて,今回は先日行われた卒業研究Ⅰの「中間報告会」について報告します.
 中間報告会とは,3年後期から取り組んでいる卒業研究のテーマや,これまでの半年間の調査結果,そして今後1年間の研究計画などを,他の研究室の学生や先生方に向けて発表する場です.
 発表の持ち時間は一人5分.なぜこのテーマを設定したのか,半年間の調査で得られた知見,そしてこれから調査したいことを全て伝えるには,あまりに短い時間です.ちなみに,中間報告会に向けて市古研究室内で行った発表リハーサルでは,ほとんどの学生が5分をオーバーしていました….参考までにその時のタイムを掲載しておきます.
 ・4分55秒(さすが小野さん.すごい!)
 ・5分08秒
 ・5分38秒(←居山)
 ・6分38秒
 ・8分11秒
 この結果を受けて,それぞれが練習に励んだことで,本番当日は全員が5分以内で発表を終えることができました!発表後の質疑応答では,”なるほど””その視点はなかった”といった,思わず考えさせられるような質問やコメントをたくさんいただきました.今後の研究のヒントになりそうです.
 また,当日は他の研究室の学生の発表をはじめて聞く機会でもありました.レベルの高い発表に感心してしまう場面もあり,とても刺激を受けました.次の,学科全体に向けた発表の機会は,来年2月の「ポスターセッション」のみです.その時には,私の発表を聞いた多くの人が感心してくれるよう,研究に全力を注いでいきます!

 私の卒業研究のテーマは,「能登復興と住民交流」です.昨年9月の復興ナラティブ調査にて能登半島地震の被災地を訪れた際,現地の方々が口を揃えて「被災当時も,これまでも,みんなで支え合ってきた」とお話してくださったのが強く印象に残りました.この言葉をきっかけに,被災地における住民同士の交流の実態や,住民主体の復興まちづくりに関心を抱くようになり,卒業研究のテーマとして設定しました.
 来月上旬には,研究室として半年ぶり2回目の能登半島の復興ナラティブ調査が控えています.その準備として,現在はインタビューの質問項目の精査,事前調査の資料収集など,慌ただしくも充実した日々を過ごしています.
 学部3年のこの時期は何かと忙しいですが,来年の今頃には,全てが良い形になっているように.いまを大切に,頑張ります.