こんにちは!市古研究室学部3年の横山と佐藤です!
今回は,2025年11月15日(土)町田市国際版画美術館にて,町田市高ヶ坂地区の8町会にご参加いただき実施しました「高ヶ坂地区復興まちづくり訓練」について報告します!
まずは当日のスケジュール・成果(ワーク内容,出た意見など) について横山から報告します.
この訓練は,マグニチュード7(M7級)の直下型地震を想定した被害想定を基に,発災後の「くらし・すまい・まちの復興」を住民の皆様と共に深く考えることを目的としました.
ワーク1では,参加者は「家族ロールカード」と「住家被害カード」を基に,大震災後の「わが家のくらしの回復」について具体的に考えました.避難先について,一部の町会では,公的な避難所だけでなく,自治会で独自に集会所を借り上げて一時避難所を確保し,水や非常食などを備蓄していることが共有されました.ロールプレイでは,本震直後に学校避難施設へ向かうのではなく,「近くの町内会会館や公共施設」を一時避難所として選択する意見が多く出されました.特に,要避難支援者(車いす利用者)のロールでは,介助者がいなければ学校避難所へたどり着くのは難しいという,避難行動における現実的な課題も浮き彫りになりました.このロールプレイは,参加者がペット問題や介護の必要性,避難先での同居への不安など,災害後の生活で起こりうる問題について,客観的な立場で深く考える良い機会となりました.
ワーク2では,高ヶ坂地区での大震災後の「くらし・すまい・まちの回復方針」として,「災害時・復興時における地域の課題・資源」や「復興協議会(地域復興の体制)のあり方」について議論しました.復旧・復興への意識に関しては,「ライフライン復旧を最優先にした上で,その後,被害状況に応じて,原型復旧ではなく歩道を確保するなどの『復興』を検討・提案していくべき」という,将来を見据えた積極的な意見が出されました.一方で,「権利関係を理由に復興自体ができないのではないか」という現実的な意見や,基本は現況復旧で進めざるを得ないという考えもあり,早期復旧と復興のバランスについて活発な議論が行われました.
地域特有の課題として,道路の狭さや私道の多さ,外部と接続する道路が限られている点,高低差のある地形などが,復興時のネックになるという懸念が多く共有されました.また,古い共同住宅群を抱える自治会からは,空き部屋が100戸ほどあるという現状を逆に利用し,これを「みなし仮設住宅」として活用できる可能性があるという,地域資源に着目したアイデアも出されました.避難所である町二中だけでなく,芹ヶ谷公園の広場をテント設営スペースやトイレ・給水・物資配布の拠点として活用すべきではないかという具体的な意見も出されました.地域連携と体制については,町内会単位の対応には限界があるため,周辺自治会や避難所との連携,広域な連合会としての対応の必要性が認識されました.地域復興協議会(のような組織)については,避難所ごとに設置されている「避難所施設運営委員会」を元にする案も提示されました.
参加された皆様からは,日頃から常に防災のことを考えて生活する意識の高さがうかがえ,今回の訓練を通して,自治会同士の相互理解や,新たな課題の発見につながる貴重な機会となりました.今回の訓練で出された住民の皆様の思いや具体的なアイデアは,今後の高ヶ坂地区の「事前復興計画」の検討に活かされていく予定です.
ここからは佐藤から,参加した皆さんの感想のまとめをお届けします!
私たち学部3年と院1年は今年が初めての参加となりましたが,院2年と学部4年の先輩方は去年に引き続きの参加となったため,それぞれ様々な感想があったようです.
今回のワークショップでは,地域の防災意識の高さに改めて驚かされる場面が多くありました.参加者の方々は日頃から災害への備えを真剣に考えており,議論の中でも具体的な課題や行動のイメージが自然に共有されていました.特に,ロールプレイ形式を取り入れたワーク1では,家族カードの情報を補いながら現実的な状況を想定し,他者の立場に立って考えることで共助の重要性を実感する声が多く聞かれました.災害後の生活で起こりうる問題を自由に話しやすい雰囲気があり,支援の見落としを防ぐきっかけにもなったとの感想も寄せられています.
一方で,議論が設問から派生しやすい場面もあり,ファシリテーターや補助者がさりげなく方向を修正する工夫が求められることも分かりました.参加者が迷った際に「ではこう考えてみるとどうでしょうか」と誘導することで議論がスムーズに進んだり,趣旨を丁寧に説明し直すことで停滞しかけた話が再び活発になったりと,進行の工夫が効果的に働いた場面もありました.議論が本題から逸れた際に,雰囲気を壊さずに舵を戻す技術の必要性を感じたという声もありました.
ワーク2では,地域の課題や資源について多様な意見が出され,地図に直接落とし込むことで具体的な場所と結びつけながら議論が展開されました.復旧を優先するか,時間をかけても復興を目指すかといった考え方の違いが鮮明に表れ,地域への思いや価値観の多様性が浮かび上がったことも印象的でした.自治会を越えた連携の可能性や,行政との協働によって防災施策の選択肢が広がることへの期待も語られています.
学生側からは,事前にプレワークを行うことで当日の進行が理解しやすくなること,記録作業や書記力の不足を補うために事前の役割分担や意思共有が必要であることなど,運営面での反省も挙げられました.また,ワークの狙いや設定の意図を事前に説明することで参加者の理解が深まり,議論がより活発になるのではないかという提案もありました.住民の声を丁寧に引き出し,柔軟に論点を切り替える姿勢を間近で学べたことは,将来のまちづくりに関わる上で大きな学びとなったとの感想も寄せられています.
全体を通して,住民の防災意識の高さと積極的な参加姿勢が際立ち,学生にとっても多くの学びと課題を得る機会となりました.今回の経験を次につなげることで,地域全体の防災力向上に寄与できるのではないかと感じられるワークショップとなりました.




































