こんにちは.市古研究室学部3年の佐藤,伊佐,横山,澤渡です!
2月9日に行われた都市政策科学科の卒業研究1中間報告会についてご報告します.
中間報告会では,一人5分の持ち時間でテーマの設定背景や先行研究,これまでにわかったことや今後の研究計画について発表しました.
B3の佐藤綾です.私は今回,「能登半島地震における行政と中間支援組織の災害広報協働モデル」というタイトルで中間発表を行いました.
本研究は,能登半島地震を事例に,行政の発信と中間支援組織(NPOや民間団体)による広報がどのように連携し,被災者のニーズを補完し合っているかを分析するものです.
準備段階では,過去の常総水害の事例研究と,今回の能登での初動をどう比較・整理するかに最も時間を費やしました.行政広報が機能不全に陥るリスクがある中で,民間団体がいかにして情報の隙間を埋めるべきか,そのロジックをスライドに落とし込む作業は非常に骨が折れましたが,自分の問題意識を改めて整理する良い機会となりました.
発表後は,先生から今後の調査の核心に触れるような示唆をいただき,身が引き締まる思いでした.特に,「組織という枠組みだけでなく,実際に情報の結節点となっている『ハブとなる個人』の動きにもっとフォーカスすべき」という視点は,これまでの私の分析に欠けていた重要なポイントでした.
この意見交換会での気づきや研究室での2月調査を受け,今後の研究では少し方向性を広げ,中間支援組織の「伴走」のあり方に焦点を当てたいと考えています.私たちと同じ「外部主体」である支援組織が,いかにして地域の懐に入り,信頼を得て,適切な距離感を掴んでいるのか.その信頼構築のプロセスこそが,効果的な広報や支援を実現する鍵ではないかと考えています.
今回,他研究室の学生の発表からも,都市政策という共通の土俵で異なる課題に挑む姿に大きな刺激を受けました. 今後は,「ほくりくみらい基金」「NOTOTO.」などへの調査を通じ,現場でハブとなる方々の「伴走」の実態を丁寧に紐解いていきたいと思います.来年度の最終発表に向けて,より説得力のあるモデルを提案できるよう,一歩ずつ研究に励みます.
B3の伊佐海音です.私は,「公民館の平時利用と災害時利用の関係性ー七尾市と那覇市・読谷村を対象にー」というタイトルで発表を行いました.本研究は,沖縄県那覇市および読谷村を対象に,石川県七尾市矢田郷コミュニティセンターの事例を参考としながら,公民館の平時利用と災害時利用を比較し,地域特性や地域コミュニティの形成度合いが公民館の利用や避難所運営に与える影響を明らかにすることを目的としています.
準備段階では,沖縄県という特殊な地理的条件や自身の経験が研究背景に強く影響していることから,それらを研究的に説明可能な形に整理し,先行研究や自治体の公式データから研究として位置づけるための根拠を見出すことに苦労しました.また,リハーサルでは表記に悩んでいた個所について先輩方から助言をいただき,その助言をもとに本番に臨むことができました.
発表後の意見交換会では,自身では気付くことができなかった多様な視点や考えを得ることができました.特に,「平時利用の具体的な内容」や「参考事例とするコミュニティセンターと公民館の違い・共通点,さらに対象とする災害が異なる点をどのように整理するのか」といった指摘をいただきました.今後はこれらの指摘を踏まえ,研究に対する自分の考えを整理し,より意義のある研究の展開に努めていきたいと考えています.
今回の中間報告会を通して,他研究室の学生の研究内容や着眼点の豊かさに大きな刺激を受けました.自身の研究を見直す良い機会となり,より深い検討を重ねていく必要性を改めて感じました.この刺激を励み都市,着実に研究を進めていこうと思います.
B3の横山茉衣です.私は今回,「能登半島地震における柔軟な避難所運営と地域ネットワークの機能―矢田郷コミュニティセンターを事例として―」というテーマで中間発表を行いました.本研究では,石川県七尾市矢田郷コミュニティセンターを対象に,平時から地域の人々がどのように関わり合い,またその関係性やつながりが災害時の避難所運営における意思決定や役割分担,外部との調整といった具体的な行動としてどのように表れたのかを捉えることを目指しています.特に,発災直後だけでなく,避難生活が長期化していく中で運営のあり方がどのように変化していったのかを時間の経過の中で整理していく点に,本研究の独自性を見出しています.
今回の発表,そして意見交換を通して,「平時のつながり」と一言で言っても,その内容には地域活動への参加,日常的な顔の見える関係,役割分担の共有など多様な側面が含まれることを改めて認識しました.また,「コミュニティセンターに普段関わりのなかった人々がどのように避難所運営に参加していったのかという視点も重要ではないか」「仮説に基づいた問いの立て方になっているため,よりフラットな聞き取り設計が必要ではないか」といった指摘もいただきました.こうした助言を踏まえ,ソーシャル・キャピタルに関する先行研究の整理などを進めながら,「平時のつながり」を定性・定量的に評価しうる論理的な枠組みを構築・整理していくのかが今後の重要な課題であると感じました.
今後は,上記で述べたような分析の軸となる理論の整理を進めながら,現地調査で得られた聞き取り内容をもとに,地域の関係性がどのような局面で避難所運営に影響したのかを具体的に整理し,参与観察や追加調査を通じて検討を深めていく予定です.また,本事例で得られた知見が都市部など異なる地域条件のもとでどの程度応用可能であるのかという点についても視野に入れながら,研究の射程を広げていきたいと考えています.
今回の中間報告会では,他研究室の学生の発表に触れる中で,多様な視点から都市や地域の課題に向き合う姿勢に大きな刺激を受けました.この経験を契機として,自らの問いの立て方や調査の進め方を見直しながら,研究を着実に積み重ねていきたいと思います!
B3の澤渡愛です.私は,「災害対応過程において女性コミュニティが果たした役割―石川県輪島市町野町金蔵集落を対象としてー」というタイトルで発表を行いました.本研究では,金蔵集落を対象に,被災前から存在していた女性コミュニティが災害時および復興過程においてどのような役割を果たしたのかを明らかにすることを目的としています.
準備段階では,限られた5分という時間の中で何を伝え,何を言わないのかという取捨選択に非常に苦労しました.また,スライド構成を練ることにも時間を費やしましたが,リハーサルでの先輩方からの助言もあり,無事に本番を迎えることができました.
発表後の意見交換会では,自分1人では気づけなかった新たな視点を多くいただき,貴重な機会となりました.特に,「女性だけに着目するのではなく,女性と男性の関係性に着目したらどうか」「農村のジェンダー論やフェミニズム社会学についても学んだらよいのではないか」という指摘が印象に残っています.これらの意見をさっそく今後の研究に取り入れたいと思います.
さらに,今回の中間報告会では,他研究室の学生の研究についても初めて聞きました.どの研究も興味深く,大きな刺激を受けました.来年度の成果発表を今から楽しみにするとともに,私自身もより一層研究を深め,説得力のある成果を出せるよう努力したいと思います.



