熊本地震発災1年集落再建実態調査

27 5月 2017 //

 こんにちは、市古研究室修士2年の岩本です。被災集落の再建に関する研究を行っています。今回は、発災から1年が経過し、復興が始動している、研究対象地の熊本県阿蘇郡西原村と村内の集落について紹介させていただきます。

 

 熊本県阿蘇郡西原村は阿蘇外輪山の西麓に位置し、原野や森林が多く見られる中山間地域です。震災前は人口7049人、2652世帯を有する村であり、人口は増加傾向にあります。地区内には水田と畑が広がり、農業を生業としている人が多く見られます。

2016年熊本地震で西原村は最大震度7を観測し、死者5名、負傷者56名、家屋・建物被害は全壊 511棟、半壊以上1134棟(全家屋の 約78%)であり、布田川断層帯周辺の家屋損壊が多く見られました。村では発災当日の夜に役場庁舎に村の災害対策本部が置かれたのですが、翌日に職員が一時帰宅した後に本震が発生し、道路が寸断され、行政の初動に支障が生じてしまいました。しかし約10年前から隔年で行われていた全村民参加の避難訓練や、平時からの地域住民同士の関わりは生かされ人的被害が抑えられました。また災害対策本部については2011年の東日本大震災で大きな被害を受けた東松島市へ職員を派遣していた経験を生かした運営がなされたそうです。ピーク時村内に6か所あった公的避難所(地元の小学校や体育館を利用)は昨年11月もって全員が退去し、2017年1月現在村の住民は1か所に集約して建設された小森仮設団地312戸に約850人、みなし仮設に146世帯の計1256名が仮設生活を送っている状況です。現在損壊した建物の解体作業が進められていて、2017年4月現在西原村は9割程完了していて、他地域と比較してとても速いペースで進んでいるそうです。

 西原村の北部に位置する古閑集落・葛目集落・大切畑集落の3集落についてご紹介します。これらの集落は斜面地に位置する中山間集落であり、等高線に沿って住居や納屋庭が配置されています。一部の住居敷地内には牛舎も見られ、木造家屋群や集落前面の水田や遠くに阿蘇方面の山々をのぞむ段々畑などから構成され自然が豊富な地域です。主に米サツマイモの栽培が行われているようです。また各集落入口付近には集会場がありそこで住民らが集まっていることが考えられます。

 これらの集落も熊本地震で建物の多くが損壊し、道路や川の護岸、擁壁も崩壊しました。2017年4月現在でほとんどの解体作業は完了していて家屋の被害を受けた住民は西原村の小森仮設団地や集落外の親類の家などで生活しています。農道や田畑も被害を受け、震災を機に農業をやめる世帯も多いそうです。その一方で既に解体された住居敷地内には自家菜園や植栽、またボランティアによる植栽が行われていて、元の住まいを離れても自分の敷地を管理している様子がうかがえます。また少しずつ道路や擁壁の修復も行われており、集会場も今後建て替える予定であり集落の復興が始動しています。大切畑集落と葛目集落では半分の世帯が集落内で再建をする意向があるそうで、今後の集落全体の再建をいかに進めるかが重要になってくると考えられます。

 昨年10月,本年4月の調査に引き続き、今後もこれらの集落について現地調査を行う中で、古閑集落・葛目集落・大切畑集落の集落再建について知見を得ていきたいと思います。

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